8月4日、首都カラカスで国家警備隊設立81周年記念イベントで演説中のベネズエラ大統領・マドゥロ氏の暗殺を狙い?、2機のドローンが狙撃兵に撃墜され爆発が起こったとのこと。
上記引用記事を読むと、マドゥロ大統領はロイター通信に対し、この事件は
「コロンビアと、ベネズエラ亡命者が多く住むフロリダ州が連携してやったもの」
と主張しているらしい。
そしてベネズエラ政府は、「National Movement of Soldiers in T-shirts (Tシャツを着た兵士の国民運動)」という集団が実行犯だと見ているようだ。
しかし現場の消防士は、「アパート内のガソリンタンクの爆発によるもの」と政府に説明したとのこと。
いやはや何というか、ハチャメチャに話が混乱している。
「中米情勢は複雑怪奇」というのはよく知られているが――
「Tシャツを着た兵士の国民運動」なんて初めて聞いたが、こんななかなか独創的な名前の過激派集団が、世の中にはいるものらしい。
特にマドゥロ大統領は隣国コロンビアがお嫌いらしいが、こともあろうにコロンビアと「フロリダ州が連携してやったこと」というのは、精神錯乱を疑わせるような話だ。
フロリダ州が絡んでいるということはつまり、アメリカ合衆国が絡んでいるということである。
コロンビアとアメリカが手を組んでベネズエラ大統領を暗殺する、しかも実行犯には「Tシャツ兵士運動」を使う、なんてことが絶対ないとは言わないが――
しかしそれにしても、爆弾を積んだドローン2機を式典上空で爆発させるなんて方法は、あまりにも目立ちすぎて絶対取らないと言っていいだろう。
この事件、どちらかというと例の9.11同時多発テロよりも、はるかに「自作自演」が疑われる案件である。
ところでドローンを暗殺に使うというのは、いかにも現代の誰でも考えつきそうなやり方である。
そこらのアンチャンでも中学生でも、ごく簡単に思い浮かべることである。
しかしそれは実際には非常に難しく、まず成功しそうにはない。
従来どおり銃で狙いを付けるか(もっと単純な方法で)爆弾を爆発させるかの方が、よっぽど成功率が高そうだ。
もし今回の事件が本当に暗殺計画だったのだとすれば、たぶん要人をドローンで殺そうとした最初の例になるだろう。
(そして案の定、失敗した。)
私としては暗殺だろうと戦場での実戦だろうと――
空飛ぶドローンなんかより、地べたを這うミミズ状やスライム状の未来兵器の方が、はるかに有用で効果的だと思っている。
もしドローンが有効だとすれば、それはこういった「地を這う(壁や隙間を伝う)兵器」をばらまく用途としてだろう。
それはともかく今回の事件、少なくとも日本ではろくに続報もなく、静かに忘れられそうである……