プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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2019年の出生率は30年ぶりの大幅減-人口減少の主因は「人間関係」という北東アジア土俗病?

 既に危機的に低下しているとされる日本の出生率が、2019年はさらに低下するという。

 厚生労働省の人口動態統計速報によると、今年1~9月の出生数は67万3800人で、前年同期比5.6%減である。

 日本生まれの日本人に限ると、これよりさらに3万人程度少なくなる。

 このままでは2019年全体の出生数は88万人程度となり、統計開始以来最少を更新する。
 
 なお、2018年の合計特殊出生率は1.43となっている。

(⇒ 日本経済新聞2019年11月26日記事:19年の出生数が急減 1~9月、5.6%減の67万人)

 
 とはいえ、人口減少に見舞われているのは日本だけではなく、むしろ世界的な傾向である。

 特にお隣の韓国などは、2018年の出生率は日本をはるかに下回る0.98になってしまった。

 そして台湾も2017年で1.13だ。
 
(⇒ NEWSポストセブン 2019年8月16日記事:韓国の出生率が急降下 今年は0.9を下回る最低値を更新か)

 
 もちろんヨーロッパにも日本より出生率の低い国がけっこうあるのだが……

 一般に日本を含む東アジア、中でも北東アジアで出生率が低下している主因は、「経済的要因」だとされている。

 なんでも韓国では、結婚費用が男性では1300万円ほども必要とされるらしいが――

 もしこれが本当なら、今まで結婚できた人が大勢いたことの方が、何とも不思議ではあるまいか。

 しかし私にとっては、本当の原因は経済的要因ではないのではないかとの疑念が拭えない。

 
 たとえば日本でも「社会的孤立」、ことに中高年男性の孤立が大きな問題とされているが――

 はたしてその中高年男性らは、本当は他者との繋がりが欲しいのに、心ならずも孤立を強いられているのだろうか。

 実は話は全く逆で、他者と繋がりたくない・接したくないと思っているのではなかろうか。

 おそらく彼らは、心が傷ついているのである。心が疲れているのである。

 何に傷つけられ、疲れさせられたかと言えば、もちろん当の「人との繋がり」によってに違いないのだ。

 そんなことは、文字どおり誰にだって推測できる。

 
 これと同様、出産適齢期の若い人たちもまた、人との繋がり即ち「人間関係」にこそ疲れている――

 だから結婚はおろか恋愛さえしないのではないか、と推測するのは非常に筋の通った話だ。

 ざっくり言って、若い人たちもまた、人と接すること即ち人間関係に日々傷つけられ・疲れているのではないかと思われる。

 そんなのは職場でさんざん強いられているので、せめてプライベートでだけはそんなのに関わるのは御免だ、と心底感じる……

 これはある意味、人間として実に真っ当な心の動きと言えるのではないか。

 
 そしてこの心の動きは、何となく日本なり韓国なりの北東アジア特有の感じ方ではないか、とも思える。

 おそらく北朝鮮でさえ、今の体制が終わって国が「正常化」されることになれば、似たような感じになる気がする。

 おそらく北東アジア圏には、「封建身分制的な人間関係」というのが(特に職場に)根付いているのだろう。

 世に言う「感情労働」というものがはびこっているのだろう。
 
 だからプライベートではせめて人との繋がりを求めなくなる、というのは、実にあり得る話ではないか?

 そして「封建身分制的な人間関係」を守ることこそ人の道であり、まっとうな人間だという「文化」が、当の若い世代にさえ支持されているとすれば……

 この北東アジアの土俗病を根絶するのは非常に難しく、北東アジア諸国出生率は、奈落の底に落ちていくしかないのかもしれない。