一躍、日本で最も有名な(悪名高い)会社となった、中古車販売店ビッグモーター社……
その本丸は損害の不正請求だったのだが、なにせ「店舗前の街路樹を枯らす・除去する」なんていう今まで「ありそうでなかった」ことをしていた――
というのがインパクトがあり過ぎたため、そっちの方が俄然話題という始末である(笑)
一つ悪事が出てくるとボロボロと悪事が露出し続けるというのがお決まりのパターンだが、
悪事とは言えないまでも「これぞ日本企業の封建土人国ぶり」と言いたくなるのが、同社のいわゆる「環境整備」というやつである。
例の、草一本でも敷地内に生えていたら人事評価がガクッと下がるという、街路樹枯らしの原因となったアレである。
そしてもう一つ、これぞ正真正銘封建土人国の面目躍如なのは、同社幹部が店舗訪問した際の店長の「全力ダッシュ」及び大声での挨拶というやつだろう。
これは同社では「来店ダッシュ」と呼ばれ――
前副社長(創業者社長の息子)や役員が店舗訪問した際、彼らが最初に見るのは店長が全力ダッシュでお迎えに来たかどうかであり、大声で「お疲れ様です」と挨拶しなければそれだけで(その場で?)降格処分になったらしい。
いやぁ、これを封建土人国と言わずして何と言おう。
まだ若いかもしれないがひとかどの社会人である店長がこんなことをさせられるなんて、それがダメなら降格させられるなんて、どこに「働く者の尊厳」なんてものがあるだろう。
妻も子もある大の男がこんなことをさせられるなんて、封建土人の日本人でなければ革命戦争に立ち上がるだろう――
と言ってしまうのは言い過ぎだろうか。
そしてこの副社長というのが創業社長の息子だというのが、ますます同社の世襲封建土人国ぶりを完璧なものにしているではないか。
だがしかし、この日本にはそんな封建土人国・封建土人企業がゴロゴロ林立しているのである。
名の知れた大企業でさえ、そうであることが多いのである。
(⇒ 2018年9月9日記事:「最強地銀」スルガ銀行もまた封建土人国-働く人の自己肯定感はますます低下する)
(⇒ 2019年11月19日記事:トヨタ「学歴ロンダリング」パワハラ自殺事件-所詮トヨタも日本企業、国際競争にはいずれ勝てない?)
逆説的ながら、それでも救いがある点は――
日本人の仕事への忠誠度や「仕事を楽しいと思う人の割合」が、堂々の世界最低水準であるのが一般にもよく知られてきたことだろうか。
それはやっぱり日本人と言えども、仕方なく封建土人企業で働いているとは言っても、それが楽しく満足のいくものとは思っていないということである。
そんなところで働くのは、可能ならば絶対に避けるべきただの苦行だと思っているということである。
これはやはり、まだしも救いがあると言うべきだろう。
私は、思うのだが――
この最新の封建土人企業とも言うべきビッグモーター社のような会社、「世襲」の「封建領主制」のような会社は、すべからく「北朝鮮型企業」と呼んではどうかと思う。
しかしいちおう、国名は「民主主義人民共和国」となっている。
これと同じく日本の世襲封建領主企業は、いちおうは株式会社を名乗っている。
だが実際は、幹部が来店したら全力ダッシュでお迎えしなければ降格になる――
とかいう類の企業は、まだまだたくさんあるのである。
それどころか、それが「道徳的」「人の道を守る」「まっとうな」企業とさえ自己認識していたりする。
そういう会社を北朝鮮式企業と認識すれば、なぜこんな企業が急成長・大成功していたかも理解しやすい。
何と言っても北朝鮮は、餓死者が出ようと幹部・国民の処刑が続こうと、とにかく核開発では抜きんでた業績を実際に挙げているのだから……