プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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小室夫妻騒動の結論「身元調査は正しい」がもたらす影響

 国民的大騒動となった秋篠宮眞子さまと小室圭氏の結婚「スキャンダル」は、結婚が成立し夫妻がアメリカに渡ってからも、(さすがに結婚前ほどではなくなったが)まだ続いている。

 さてそれで、今回の騒動の結論めいたものを探すとすれば、何だろう。

 おそらくそれは、「結婚に身元調査は(やっぱり)大事」「身元調査は正しい」というものではないだろうか。

 たぶんこれが、国民のほぼ一致する感想である。

 「なぜ宮内庁は身元調査をちゃんとやらなかったのか」というのが、国民の一致した意見であり疑問であり、怒りでさえある。

 実際、テレビや雑誌でそういうことを言う人はたくさんいる。

(⇒ デイリースポーツ 2021年11月17日記事:眞子さん結婚で「男性方が問題抱えている可能性あるのに宮内庁はノーチェック」バイキング識者)

 ところが、である。

 世の中で「身元調査」とは、やってはいけないことだと言われていないか。

 特に結婚に際しての相手方の身元調査なんて、人権侵害レベルでやってはならないこととされていまいか。

 「身元調査はやめましょう」ということを、国(法務省)や全国の全ての自治体が呼びかけているのではないだろうか。

 そういうポスターが街中や公共施設に貼られているのを見た人も、何千万人もいるはずである。

 しかしそれなのに、いまや日本人のほぼ全員が「身元調査をやるのはやっぱり正しい、重要だ」と思っている。

 そういうことが公然と言われ、それを批判し問題視する意見も(管見の限りでは)見当たらない。

 
 思うにこれが、今回の騒動が日本社会に最も影響をもたらした側面である。

 娘や息子、自分自身の結婚相手の身元調査をやらないなんて、むしろ怠慢で――

 悪くすると「考えなしのバカ」「リスク管理のできない人」とまで思われるような根拠あるいは雰囲気ができた。

 
 戦後の日本の政府や公的セクターが、延々と訴え続けてきた「身元調査はやってはいけない」との公衆道徳……

 それは今、完全にただのタテマエであり、リスク管理意識のない人間のみがバカ正直に受け止めるもの。

 そんな風に見なされるようになるだろう。

 これが今後の日本にどう影響するかと言えば――

 それはやっぱり、さらなる非婚化・少子化の進展、ということになるのではなかろうか。

 少なくとも「結婚相手(候補)の選別」が今以上に進むのは、間違いないことと普通に考えて思われる。