プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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国会で選択的夫婦別姓質問に「じゃあ結婚するな」ヤジ…反対派は稀少姓の絶滅をどう考えている?

 1月22日の衆議院代表質問で、国民民主党玉木雄一郎代表が選択的夫婦別姓についての質問をした際、

 自民党の女性議員から「じゃあ結婚しないでいい」とのヤジが飛んだという。

 野党は、その女性議員が「例の」杉田水脈氏ではないかとして、自民党に確認を求めた。

 当の杉田氏は、記者団の質問に対して無返答だったそうだ。

 杉田氏を「例の」と呼ぶのは、2018年に同性カップルについて「ああいうのは生産性がない」と雑誌に寄稿したことがあるからである。

(そのせいで、掲載した『新潮45』は休刊に追い込まれた。)

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 杉田氏が、ガチガチの保守派であることはよく知られている。
 
 別にそれ自体は、特に悪いことではない。

 ガチガチの保守派というのが国民の中に一定数いるのであれば、その代表者が国会議員になるのはむしろ自然なことである。

 あるべきことである、と言ってしまってもいいかもしれない。

 だがまず、(杉田氏に限ったことではないが)この「国会で国会議員が質問しているときに、他の議員がヤジを飛ばす」というのは、なぜあいも変わらず許されているのだろうか。
 
 こんなことが許されているのは、日本広しと言えども国会だけである。

 こんなことが続いても「そういうもの」としてスルーされているのは、国会だけである。

(地方議会でも、そういうことはあるようだが……)


 小学生のクラス会議でさえ許されないようなことが、よくもまあ国会で「普通の光景」になっているものだ。

 今後は、ヤジを飛ばすような議員は、即刻退場させるべきである。

 それができないというなら、いっそ天皇に毎日国会に出席してもらった方が良い。

 さすがに天皇の御前でヤジを飛ばす度胸のある議員はおらず、いたとしたら国民にボコボコに叩かれることだろう。 
 

 さて、それはともかく選択的夫婦別姓についてだが、私はこれに賛成である。

 その理由のかなり大きなものとして、「そうじゃなければ日本の稀少姓は急速に減少・絶滅するから」というものがある。

 これについては、以前も記事を書いた。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com


 選択的夫婦別姓に反対する人には、いわゆる保守派が多いだろう。

 そこで保守派の人に聞いてみたいのは、日本の「素晴らしい」「伝統の」稀少姓がこれからいくつも消えていくことについて、どう思っているのですかということである。

 日本の人口がこれから急減していくことは、どんなニュース音痴でも知っているような「事実」である。

 夫婦の子どもは一人または二人、その全員が男か女かどちらか、というのは、それこそ今の日本の普通の光景である。

 そんな中で、A姓とB姓が結婚すればどちらか片方しか残せないとなれば、(今でさえ数少ない)珍しい苗字を持つ人間が急速に減少するのは、バカでもわかる。

 いや、別に稀少姓の人でなくても……

 一人っ子の女性が「自分の家名を、なんとか後世に残したい」と願う気持ちは、保守派にとっては禁圧してやむを得ぬことなのだろうか。


 このまま行けばこの日本から、素晴らしい(はずの)伝統ある稀少姓が、21世紀の半ばを待たずしていくつも絶滅するだろう。

 伝統ある愛着ある家名が、いくつも断絶するだろう。

 保守派としては、その責任は感じないで済むものだろうか。

ノロノロ運転10年以上「10キロおじさん」-日本を揺るがす「変な人リスク」問題

 神奈川県には、もう10年以上もわざとノロノロ運転して近隣住民ら後続車を困らせる「10キロおじさん」という人がいるらしい。
 
 なんでも人が歩くくらいの速度で走り、じゃあ抜かすとクラクションを鳴らす、
 後続車が100メートルも列を成すこともある、
 見通しの悪いカーブの先で駐車する、
 などなど……
 
 そして直撃取材によるともちろん本人は、「こっちが嫌がらせ運転されている。自分は被害者」と言っているとのこと。
 しかしどうあれ、周りの人は「迷惑」「変人」と思っているに違いない。

 さて、これは、日本を揺るがす「変な人リスク」のたった一例である。
 変な人リスク――
 まさにこれこそ、今の日本社会が抱える最大の問題だろう。
 その問題度は、おそらく少子高齢化問題をしのぐほどに。
 よくメディアの報道では、「経済効果」というのが喧伝される。
 東京オリンピックは何兆円の経済効果があるとか、お馴染みのその手の話である。

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 であるならば、ぜひこの10キロおじさんの「経済損失効果」というのも試算してほしいものだ。
 いや、全国の「変な人」による経済損失効果を試算してみれば、それはとんでもない金額に上るのではなかろうか。
 一例を挙げると、日本では空き家問題が深刻とされている。
 しかし空き家であるのに、なかなか人に貸し出されることがないのも問題だと言われている。
 その根本的な理由はおそらく、家主が「変な人」に遭遇するリスクを恐れているからである。
 「変な人」が家を借り、家賃も払わず追い出すのも難しいというリスク、近所迷惑になるリスク、それらを懸念するからである。

 変な人リスクは、地域社会でも職場でも最大級の大問題である。
 人々は皆、それをわかっているか実感しているはずである。
 極論すれば、「日本は変な人リスクで滅亡する」と言っても過言ではないのではなかろうか。

日産、「顧問」と「相談役」を廃止へ――実は「憧れの職業」だったこれら

 元会長のカルロス・ゴーンの逃亡劇でまたも評判を落とした日産自動車が――
 企業統治改革の一環として、「顧問」と「相談役」の役職の廃止を検討しているという。
 
 理由は、「権限がはっきりしない名誉職を廃止することで企業運営の透明化を図る」というものらしい。
 ところで何を隠そう、私が少年時代の「なりたい職業」と言えば、まさにこの「顧問」と「相談役」であった。
 特にいいのは、「最高顧問」というものである。
 もちろん正確に言えば、これは「職業」でなく「地位」ないし「肩書き」なのだが……
 しかしその肩書きの響き、何とも(私のみならず)人の羨望と憧れをそそるものではないか?
 顧問と相談役と言えば、「ラクして高給がもらえる」の意味に等しい。
 週3日勤務、それも朝10時くらいに出社してお茶や雑談しているだけで月何十万円、場合によっては百万円超の給与(または報酬)がもらえる――
 こういう境遇は、働く者の夢である。
 そして最終到達点である。
 当然ながら子どもの身では、顧問や相談役が実際に日々どういうことをしているのかは、わからないのだが……
 しかし子どもにさえ、顧問や相談役という肩書きの人は、そういうイメージを持たれていたということでもある。
 
 それにしても、あの鬼のコストカッターと呼ばれたゴーンでさえ、この顧問・相談役という役職を廃止していなかったらしい。
 それがいかに大企業(中小企業でもそうかもしれない)にとって「聖域」であるか、
 外国人経営者に取ってさえ、幹部連中(の一部ではあるが)の既得権にどれほど配慮しなければならないものであるか、
 よ~くわかるというものではないか?
 そしてこれは、どうやら「企業統治」や「聖域なきコスト改革」というのが、その企業で本当はどれだけ実践されているかのリトマス試験紙にもなりそうである。
 つまり、「顧問」「相談役」の役職があるというだけで、その会社には聖域があるのだと見なせばよい。
 そういう見方が国民的に広がっていけば、こんな高コストの「お荷物」は、日本企業から早々に廃絶できるだろう。
 どんな強欲の幹部連中と言えども、世間の雰囲気には弱いものである。