この4月、国際通貨基金(IMF)の発表した推計によると、2025年には日本の名目GDPはインドに抜かれて世界第5位になる見通しとのこと。
(⇒ 読売新聞 2024年5月5日記事:日本の名目GDP、2025年にインドに抜かれ世界5位へ…円安でドル換算が目減り)
2023年にはドイツに抜かれて世界第4位に転落したばかりだというのに、時の流れはあまりに早すぎる――
といったところだろうか。
いや、なんだか「つるべ落としの衰退」と言った方がいいのかもしれない。
そしてこうなると、次はどこの国に抜かされるんだろうと思うのが人情である。
そこで、2023年現在の世界GDPランキングを見てみよう。
(⇒ セカイハブ 2024年2月27日記事:【2023年】世界の名目GDPランキング (IMF))
現時点の世界第6位はイギリス、7位はフランス、8位はイタリア、9位はブラジル。
そのいずれの国も、前年からの経済成長率8.1%~10.8%なのが非常に注意を引く。
これは日本の△0.2%から見れば、目もくらむような高度成長の数値である。
このぶんだと、次はイギリスに抜かされるのは時間の問題だと思った方がいいようだ。
そしておそらく、フランスにも抜かされるのだろう。
かつて長らく「世界第2の経済大国」であった日本にとっては、本当につるべ落としの転落である。
さて、ところで日本人は、この転落のどの段階で大騒ぎして危機感を持つようになるだろうか。
2010年に中国に追い越されたときは、「あんな大人口国なんだから仕方ない、当然のこと」と思うことができた。
2023年にドイツに抜かれたときは、人口こそ日本よりだいぶ少ないが「あのドイツだから」と思うことができた。
(ドイツという名の威信は、いまだ日本では非常にブランド力がある。)
そして今回インドに抜かされるとなると、やはり「世界一の大人口国なんだから仕方ない、当然のこと」と思うことができる。
続いてイギリス・フランスに抜かされるのなら、やっぱり「あのイギリス・フランスだから」と思うことができるだろう。
そう、日本人は「米・独・英・仏」という「欧米の有名列強」に抜かされるのであれば、それは仕方ないと思いやすいのだと思う。
また中国・インドに抜かされるとなれば、人口が言い訳になるのだと思う。
よって、日本人が真に危機感を持つのは、イタリア・ブラジルに抜かされそうな時だろう。
あの「遊び好きな」イタリアにも抜かれるとなれば、メディアの騒ぎはそれまでの比ではなさそうだ。
ましてや、ブラジルに抜かれるともなれば――もっとも、これも人口が言い訳になるかもしれない――
もはや日本のGDP目標は、世界10位圏内を維持するというものにした方が良いのかもしれない。
いや、2050年に10位圏内に残っていれば御の字と言うべきか。
私としては、メキシコ(現在12位)にも負ける日が来るのではないかと思っているのだが……