5月29日、東部アフリカのウガンダで、「世界で最も厳格」な反LGBT法が成立した。
同性愛者には「リハビリ治療」を義務付け、相手が未成年者・近親者で自分がエイズ陽性者の場合は死刑にする内容だという。
(⇒ CNN 2023年5月30日記事:ウガンダで反LGBTQ法が成立 「世界で最も厳格」)
私はこの法律について、その成立の要因となったウガンダ国民の意識について、あえてコメントしない。
(ほとんど全く無知でもあるし……)
だがこういうとき反射的に思い浮かぶのは、例の非常に有名な「世界ジェンダーギャップ指数」である。(数値が高いほど男女平等)
その指数が低いから「日本は男女平等が遅れている」と言われることが多いのは、嫌でもみんな知っているだろう。
そこで、2022年版のジェンダーギャップ指数ランキングを見てみると……
なんとウガンダは、イスラエルとザンビアの間の61位につけている。
日本はブルキナファソとモルディブに挟まれた116位なので、圧倒的にウガンダの方が上なのだ。
(⇒ ELEMINIST 2022年8月26日記事:【2022年最新】ジェンダーギャップ指数ランキング 世界と日本の現状・今後の課題は)
私はこの世界ジェンダーギャップ指数について詳しいことは何も知らないし、世の中の人もそんなにたいして知っていないだろうと思う。
しかしそんな「素人」からしても、「なんじゃこりゃ」と思わないわけにはいかないだろう。
いったいなんでまた、「世界で最も厳格な反LGBTQ法」が成立する国が、日本よりランキング上位なのか。
いくらなんでも、指数の算出がおかしいのではないか。
そしてこれは、アフリカ諸国への偏見かもしれないが……
ルワンダが6位、ナミビアが8位で、デンマークの32位よりはるかに高いというのは本当なのか。
(これは東欧だが)あのベラルーシが36位につけているというのは、本当なのか。
このランキング100位以下には軒並み同じアフリカ諸国がランクインしていることを思うと、ますますウガンダの61位というのは不思議に思えてくる。
(最下位がタリバン支配のアフガニスタンというのは、確かに正しいと思えるのだが……)
いや、しかし、このランキングを弁護する理屈というのは思いつくのである。
世の中に男女以外の性は認めない、しかしその男女はあくまで平等である――
こういう考えは、確かにあり得る。
ジェンダーは性別なのであるから、ジェンダーギャップとは男女の格差なのであるから、このランキングにおいてLGBTQの存在を考慮外とするのはおかしくはない。
が、一般的な感覚では、やはりLGBTQを認めないというのであればジェンダーギャップ指数は低くなる、というのが常識ではあるまいか。
さあ、こうなると2023年の世界ジェンダーギャップ指数はどうなるだろうか。
ウガンダの順位が暴落するかどうかでこの指数の拠って立つ考え方がわかる、と思うのは見当外れだろうか。
いちおう日本の男女平等施策・LGBTQ施策はこの指数を上げることを数値目標にしていると思われるので、ウガンダの順位の変動はかなり重要な観察点のはずである。
もしジェンダーギャップ指数が「男女」格差だけ見てLGBTQの存在を考慮しないものであるなら、やはり「世界LGBTQ指数」というのを別に設けなくてはならないだろう。
(誰が算出するのかはわからないが……)