プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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日産、「顧問」と「相談役」を廃止へ――実は「憧れの職業」だったこれら

 元会長のカルロス・ゴーンの逃亡劇でまたも評判を落とした日産自動車が――
 企業統治改革の一環として、「顧問」と「相談役」の役職の廃止を検討しているという。
 
 理由は、「権限がはっきりしない名誉職を廃止することで企業運営の透明化を図る」というものらしい。
 ところで何を隠そう、私が少年時代の「なりたい職業」と言えば、まさにこの「顧問」と「相談役」であった。
 特にいいのは、「最高顧問」というものである。
 もちろん正確に言えば、これは「職業」でなく「地位」ないし「肩書き」なのだが……
 しかしその肩書きの響き、何とも(私のみならず)人の羨望と憧れをそそるものではないか?
 顧問と相談役と言えば、「ラクして高給がもらえる」の意味に等しい。
 週3日勤務、それも朝10時くらいに出社してお茶や雑談しているだけで月何十万円、場合によっては百万円超の給与(または報酬)がもらえる――
 こういう境遇は、働く者の夢である。
 そして最終到達点である。
 当然ながら子どもの身では、顧問や相談役が実際に日々どういうことをしているのかは、わからないのだが……
 しかし子どもにさえ、顧問や相談役という肩書きの人は、そういうイメージを持たれていたということでもある。
 
 それにしても、あの鬼のコストカッターと呼ばれたゴーンでさえ、この顧問・相談役という役職を廃止していなかったらしい。
 それがいかに大企業(中小企業でもそうかもしれない)にとって「聖域」であるか、
 外国人経営者に取ってさえ、幹部連中(の一部ではあるが)の既得権にどれほど配慮しなければならないものであるか、
 よ~くわかるというものではないか?
 そしてこれは、どうやら「企業統治」や「聖域なきコスト改革」というのが、その企業で本当はどれだけ実践されているかのリトマス試験紙にもなりそうである。
 つまり、「顧問」「相談役」の役職があるというだけで、その会社には聖域があるのだと見なせばよい。
 そういう見方が国民的に広がっていけば、こんな高コストの「お荷物」は、日本企業から早々に廃絶できるだろう。
 どんな強欲の幹部連中と言えども、世間の雰囲気には弱いものである。