企業統治改革の一環として、「顧問」と「相談役」の役職の廃止を検討しているという。
ところで何を隠そう、私が少年時代の「なりたい職業」と言えば、まさにこの「顧問」と「相談役」であった。
特にいいのは、「最高顧問」というものである。
もちろん正確に言えば、これは「職業」でなく「地位」ないし「肩書き」なのだが……
しかしその肩書きの響き、何とも(私のみならず)人の羨望と憧れをそそるものではないか?
顧問と相談役と言えば、「ラクして高給がもらえる」の意味に等しい。
週3日勤務、それも朝10時くらいに出社してお茶や雑談しているだけで月何十万円、場合によっては百万円超の給与(または報酬)がもらえる――
こういう境遇は、働く者の夢である。
そして最終到達点である。
当然ながら子どもの身では、顧問や相談役が実際に日々どういうことをしているのかは、わからないのだが……
しかし子どもにさえ、顧問や相談役という肩書きの人は、そういうイメージを持たれていたということでもある。
それにしても、あの鬼のコストカッターと呼ばれたゴーンでさえ、この顧問・相談役という役職を廃止していなかったらしい。
それがいかに大企業(中小企業でもそうかもしれない)にとって「聖域」であるか、
外国人経営者に取ってさえ、幹部連中(の一部ではあるが)の既得権にどれほど配慮しなければならないものであるか、
よ~くわかるというものではないか?
つまり、「顧問」「相談役」の役職があるというだけで、その会社には聖域があるのだと見なせばよい。
そういう見方が国民的に広がっていけば、こんな高コストの「お荷物」は、日本企業から早々に廃絶できるだろう。
どんな強欲の幹部連中と言えども、世間の雰囲気には弱いものである。