5月18日から6月16日まで、京浜東急の蒲田駅がサントリーとのコラボで「蒲タコハイ駅」となるイベントが行われる。
ところがイベント開始前日の5月17日、アルコール依存症の予防啓発に努めるNPO法人ASKがこれを中止するよう抗議の申し入れを行なった。
理由は「鉄道乗客にはアルコール依存症と戦う人たちもいるのに、こんな公共の場で飲酒を促進するのはおかしい」というものである。
(⇒ 2024年5月27日記事:ORICON NEWS:「京急蒲タコハイ駅」“中止”抗議にSNSで賛否の声「完全支持しますよ」「公共空間はこれくらい厳しいほうがいいかもね」)
さて、またしてもこのようなクレームである。
「公共の場」とりわけ鉄道駅での広告表現・広告イベントについてたびたび抗議やクレームが寄せられるのは、もはや現代日本のありふれた日常の一つだろう。
このブログでも、それらについて何本か記事を書いてきた。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
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そこで思うのは、もはやアウトドア広告(屋外広告)とりわけ駅や地下街に大々的に広告を出すというのは、リスク満載の危険極まる広告手法となったのではないか、ということだ。
ちょっとでも攻めた企画をやろうものなら、必ずやSNSで批判をしてくる人がいる。
それが全人口のたった0.1%であったとしても、12万人である。
たとえこのさらに0.1%の120人だったとしても、「炎上」増幅の引き金を引くには十分な数だろう。
では広告はどこに活路を見出すかと言えば、当然ながらネットである。
そう、ネットこそ広告の楽園というべきものであって――
萌え絵ごときは序の口で、明らかに性的効果・性的アピールを狙ったCGイラスト広告さえも野放しであるように見える。
あなたはもちろんそのことを知っており、それどころか知らない人はほとんどいない。
それなのに本当に不思議なことに、これに対する抗議の声が上がったなどということは全く聞かないのである。
あの手の性的イラスト広告をアップする会社に対しては言うまでもなく、そのアップを容認して(広告料を受け取って)掲載しているプラットフォーム企業たとえばヤフーに対しても、あんな広告を何千万人の目に触れるようにするのはけしからん、などと抗議されることはないのだ。
これって、いったいなぜなのだろうか。
誰か知っている人はいないのだろうか。
ひょっとして、ヤフーとかに抗議する手段を誰も知らないのだろうか。
それとも抗議しても無駄だとわかっている、あるいは抗議したらこっちが恥をかくとでも思うのだろうか。
しかしそれならそれで、広告主の企業に抗議することだってできるはずである。
それでもそんなことをやる人がいないのは、奇怪な現象ではあるまいか。
だが、何にせよ、当面の間はネット広告が(特に性的な絵の)野放し状態であるのは事実のようだ。
もっとも、酒類がネット広告に適合的であるとはそんなに思えず、やはりリアル空間の屋外広告・屋外イベントに勝るものはないだろう。
しかしそれを考えても、とにかく「駅」での広告・イベントはもはやリスクが高すぎる時代になったと思うのである。