プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「まともに仕事しながら結婚・子育てしたいと思うのは超人or狂人」説

 働く女性300人(子あり150人・子なし150人)を対象に調査したところ、

 その44.0%は「子どもを産みたいとは思わない、産む予定はない」、20.0%が「こどもを産みたいと思っているが、産む予定はない」と回答したとのこと。

(⇒ LIMO 2023年6月27日記事:働く女性の半数以上が「子どもを産む予定はない」その理由は)


 全く、実に明白な「女性の結婚離れ、出産離れ、子ども欲しい離れ」の実情である。

 いったい「女性には子どもを産みたい・持ちたいという本能がある、母性がある」という人々は、これを見て何というだろうか。

 おそらく「本能が壊れている」と言うのだろうが――

 しかし私には、こんな結果はむしろまともに感じられるのだ。

 それは別に女性に限った話ではなく、「働く男性」について調査しても同じような結果が出るだろう。

 そしてそれもまた、まともな結果だと思うのだ。


 皆さんは、こうは思わないだろうか……

 まともに仕事していて、それでなお恋愛・結婚・出産・子育てなんかしたいと思えるなんて、超人的なことではないか――と。

 いったいどうしてそんな元気と精力があるのか、むしろ頭がおかしいんじゃねぇか――とは。

 明白に短時間と言える仕事は別として、仕事して家に帰ったら「メシ・風呂・寝る」しかしない人は莫大な数に上るだろう。

 と言うより、「メシ・風呂・寝る」の他には「自分の時間」しか欲しくない、

 その他のことに割く時間も気力も余裕もない、

 いや、その他のことなんて極力したくない。

 これは現代人の――男女を問わず――最も普通の感性であり、従ってまともな考え方と言ってよいのではなかろうか。

 そして今回の調査結果は、現実にそういう感性・考え方がもはやメインストリームであることをハッキリ示してはいまいか。


 おそらく多くの現代日本人は、「仕事しながら結婚・子育てしている人」というのを――

 良く言えば眩しいほどの超人、悪く言えば「よくやるよ」と思って見ていると思う。

 とても自分にはそんなことできない、できるようになりたいとも思わない、そんなことする気になるなんて信じられない、どうやって成り立っているのかわからない……

 これがニュースタンダードな感性・考え方でないと、はたして誰が言えるだろう。


 仕事から帰ったらバタンキューである人にとって、恋愛・結婚・子育てなどというのは考えられもしないだろう。

 そして、たとえ厳密に1日8時間労働を守ったとしても……

 やはり家に帰ったらバタンキューである人、バタンキューでありたい人というのは、何百万人もいるはずである。

 そんな人たちにとって、いったいどうやったら恋愛・結婚・子育てをする気になるかというのは、大いなる謎ではないか。

 現にそんなことをしている人がまだ世の中に大勢いるというのは、本当に驚異的なことではないか。

 そして、ほんの数十年前のこの国が、男女の90%以上が結婚していたという「皆婚社会」だったというのは想像もつかない事実ではないか。

 ほんの数十年前の人たちは、どんな仕事をしていたというのか。そんなに楽だったのか。

 いや、さすがにそんなことはないはずなのに――

 こうして世の中には、また「身近なのに不可解な謎」というのが新たに発生していくのである。