国会(参議院)の憲法審査会を「毎週開催ってサルのやることだ」と、
衆議院の憲法審査会についても「何も考えていない人たち。蛮族の行為だ」と批判した立憲民主党の小西洋之参議院議員が、その憲法審査会の野党筆頭幹事から更迭された。
こういうことがあるとマスコミが一斉に悪口記事を書き始めるものだが、今回も例外ではなかった。
もっともこれは必ずしも悪ノリというわけではなく、そういうことでもなければ全然報じられることのない国会議員の性格なり性癖なりが、初めて国民に知られるという面もある。
その現時点での「最高傑作」が、集英社オンラインに掲載された記事だろう。
(⇒ 集英社オンライン 2023年3月31日記事:「サル」発言の小西洋之議員が更迭「自分が一番頭のいい人間だと思っている」「大勢の前で産経記者を指差し、こき下ろし」…永田町に広がる「コニタン」の悪評)
この引用記事の後半、懇親会の席で政治的意見的に対立する産経新聞の記者に「にこやかに『よろしくお願いします!』と応対」していながら、
その直後の乾杯の音頭で「あそこに産経の記者がいますけど、産経は本当にひどい新聞です! 産経の政治部記者と裁判しているが、勝つ!」と言って笑いを取り、
その後でまた産経記者のところに来て「ごめんね~挨拶で触れちゃって。今後ともよろしくね!」とにこやかに話しかけてくるところなどは、まるで肝の太いサイコパスのようだ。
しかしこの程度(?)なら、政治家でなくても世の中にたくさんいそうな人物像ではある。
真のハイライトは引用記事の前半で、2013年の故・安倍首相に対する「条文クイズ国会質問」はまさに、失笑苦笑の傑作質問と言えるだろうか。
安倍首相に「憲法で包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか?」「幸福追求権を定めた条文は何条ですか?」「私は知ってます」と堂々と論陣?を張る姿は、まさに小学生の勇姿とも言える。
私にはこれ、小学生時代に「それ言ったの、何時何分何秒?」などという言い方が流行っていたのを思い起こさせるのである。
さて私は、小西参院議員が単なる哀れなバカ(サル?)だとは思わない。
なんたって、東大卒のキャリア官僚出身である。
現代日本では「東大生」「東大卒」の肩書だけで商売になるのは、皆さん知ってのとおりである。
バカどころか、日本有数の頭のいい人・勉強のできる人・ついでにクイズも得意な人であるのは、間違いないことと言っていいだろう。
しかし私は、人が頭がいいというのを特に褒めようとかスゴいなあとは、思わない。
なぜなら頭のいい人というのは、世の中に勝手に湧いてくるからである。
いわゆる「天才」と言われる人たちもまたそうで、何かのジャンルの天才というのは必ず勝手にポンポン湧いてくるものである。
そしてまた、「無能な働き者」という人間が一番タチが悪いというのは、人口に膾炙した言葉だが――
「頭のいい有害者」というのもまた、それに勝るとも劣らないタチの悪さがあると思うのだ。
実際、「条文クイズ質問」に受け答えする安倍首相のことを思うと、どんなアンチ安倍派の人であっても「頑張れ安倍首相、大変だなあ安倍首相」と応援したく・ねぎらいたくなるのではなかろうか――(笑)
世の中には、「頭のいい有害者」がいる。それも大勢いる。
自分の出したクイズに答えられない人をバカにする人って、そこら中にいそうである。
そして私はそういう人を、ただ「キモい」と思う。
付け加えて言えば、「どうせ度胸はない人」とも思う。
なぜなら安倍首相には「これは何条? 答えられない? 私は知ってます」とは言えても、
たとえばトヨタの社長なんかに同じことを言える度胸があるとはとても思えないからである。
「無能な働き者」と「頭のいい有害者」――
この2種類の人間が悲劇的に組み合わさっている組織・団体は、残念ながら星の数ほどありそうではないか……