3月24日放送の日本テレビ『スッキリ!』内で、那須どうぶつ王国動物園に行っていたオードリー春日が、わざとペンギンのいる池に(2度)落ちた。
スタジオMCの加藤浩次から「池に落ちんなよ!」「足元に気を付けろ!」との声かけがあった直後であり、明らかにウケ狙いの芸である。
これについて園は即日、日テレへ厳重抗議。
27日にはスッキリ内で加藤浩次が、
「園職員と番組スタッフの事前打ち合わせで、動物に危害を加えなければ池に落ちても大丈夫と聞いていた」
「しかし僕自身がスタッフとしっかり打ち合わせすることを怠った。
池に落ちてもいいという部分だけで進んでしまい、春日に対フリという形で追い込んでしまった部分もある」
と謝罪した。
さて、こういう「落ちるなよ→落下」は、まさに日本のお笑い芸人の伝統定番芸である。
ついでに言えば、こういうことにはもちろん、施設職員との事前打ち合わせがあるということだ。
今回のようなことを80年代いや90年代にやっていたとしても、それは普通のことであり視聴者はみんな無心に笑って(ニヤついて)いただろう。
たとえ「動物がいるのに配慮がない」と思ったとしても、それは個人個人の感想に留まっていた。
それがベタな言い方だが、ネット社会になると、世間からボコボコに叩かれる羽目になる。
しかし今回この記事で書こうとするのは、そういうことについてではない。
これはもう、誰でも感じていることだと思うが……
動物福祉・アニマルライツの観点から言うなら、「動物園」及び「ペットを飼う」ということ自体が、いずれ非人道的・反道徳的な行為とみなされるようになるだろう、ということについてである。
動物を本来の場所から引き離して隔離し、飼育し、人間の見世物に供し、時にはエサを使って芸をさせる。
動物を(何もわかっちゃいないはずなのに)可愛いともてはやし、自分のものとして所有する。
これは現代の(特に西欧圏の)道徳観からは、とうてい是認されることではないはずだ。
もちろん動物園の職員・ファンやペット愛好家・ペット販売業者からは、こういう道徳観は決して是認されないし猛反発を引き起こすに決まっている。
しかしその人たちにしても、この道徳観がいずれ日本を覆うのは時間の問題だという「危機感」は持っているのではなかろうか。
なにせイギリスでは、「エビを生きたまま茹でるという残虐な」調理法が禁止されようとさえしているのである。
(⇒ TSURI NEWS 2021年12月24日記事:食材に苦痛を与える調理法が禁止に エビを生きたまま茹でると非人道的?)
また今の日本でさえも、動物園が動物を見世物にし芸をさせるのに批判的な人、人がペットを飼うことに(道徳的な)不快感を持つ人というのは、決して少なくないだろう。
そしてLGBTQとか同性婚のごとく、欧米の価値観に合わせることが道徳である現代日本の道徳観から考えると――
「ズバリ大胆予想」と言うまでもなく、いずれ動物園とペット飼育が世間の厳しい批判に晒されて廃絶に追い込まれる未来が来るのは、そんなに遠くないことと思われる。
いや、廃絶にまでは至らなくても、ちょうど「タバコ」みたいな境遇にはなりそうである。
動物福祉とアニマルライツを突き詰めて考えれば、そういう結論と方向になるのは、どうにも避けられそうもない。
これは、同性婚よりはるかに影響の大きい(関わる人が莫大に多い)、価値観の大転換・大変化になりそうである。