プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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トヨタ新経営陣も全員男性…でも「大本営」と言われない (笑)

 まず言っておくと、私はアンチ・トヨタではない。

 何の恨みも悪意もない。

 ただトヨタ自前のメディアである「トヨタイムズ」のPR記事がネットを見ていると勝手に表示されるので、しばしば目に付くというだけである。

 そのトヨタイムズで今、佐藤恒治・新社長をトップとする新経営陣についてのPR記事が掲載されている。

 その掲載写真は2月13日に行われたトヨタ記者会見の際のもので、佐藤新社長ら8人の新経営陣の写真が楕円形に並んでいる。

 そして、その8人「全員が男性」なのである。

toyotatimes.jp

 

 おりしもその前の1月27日には、小島慶子 氏が国会議院運営委員会のメンバー写真を見て「全員男性、大本営か!」と思ったという記事を書いている。

 その記事のタイトルは、「能力で選んだら男ばかりになりました」と言っているうちに誰もいなくなる日本、というものであった。

(⇒ ミモレ 2023年1月27日記事:「能力で選んだら男ばかりになりました」と言っているうちに誰もいなくなる日本【小島慶子】)


 私はこの、男ばかりの組織トップ集団を見て「大本営か」と思うのは、なかなかナイスな思い方だと思う。インパクトのある言い方だと思う。

 これを小島氏は、こう書き出している。

 

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「こんなやばい写真が」と、知人があるツイートの画像を見せてくれました。

国会の議院運営委員会の写真です。

テーブルをぐるりと囲むのは、全員男性。

一瞬CGかと目を疑いましたがそうではないようです。

大本営か! と突っ込みながら当時の写真を検索してみたら、本当にそっくりでした。

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 そして私も、今回のトヨタイムズのPR記事写真を見て「大本営か」と思ってしまった。

 いや私だけでなく、小島氏の記事を読んだ後では誰もがそう思うはずである。

 正直私はこのトヨタ新経営陣の写真を見て、それこそ「一瞬CGかと目を疑った」。

「こんなやばい写真が」と思った。

 この、ただでさえ「日本の会社の経営陣には女性が“極端に”少ない、遅れている」と言われ続けているご時世に、こんな直球の「男性ばかり」の写真をトップに持ってきて誇らしく(?)天下にアピールする。

 これが世界のトヨタの感性なのか、と疑問に思ってしまったのである。

 そしてこう思ったのは、私だけではないと信ずる。

 ましてや当の小島氏や、その大勢の共感者にとっては、言わずもがなのことであるはずだ。

(彼女彼らのパソコンにも、必ずやトヨタイムズのPR記事が表示されているに違いない。)
 

 さぞかし彼女ら彼らは、失望したに違いない――トヨタさえもが大本営か、と思わなかったはずはない。

 しかし管見の限り、そういう感想を記事にした人は世の中に一人もいないらしい。

 日本でパソコンを使っている人の大半が絶対に目にしているだろうこのPR写真について、「男性ばかり」と批判記事を書く人が皆無なのはなぜなのか。

 私など、誰かが――女性活用、ダイバーシティを呼号している人は特に――それを書く義務があるのではないか、とさえ感じてしまうのだが。


 もしかしたら世の中では、「トヨタの批判」はしてはならないことになっているのだろうか。

 トヨタ批判は、アンタッチャブルな領域なのか。

 皇室や皇族さえもボロクソ並みの批判に晒されている世の中なのに、「世界のトヨタ」はそうでないのか。

 トヨタはあたかも、「産業界のジャニーズ事務所みたいなものになっていないか。

(⇒ 2023年3月9日記事:BBC、故ジャニー喜多川の性加害を報道-御用忖度メディアという病)


 トヨタの新経営陣は、まぎれもなく「全員男性」である。

 それを堂々と写真にして大々的にPRしている。

 なぜ男性ばかりなのか、と問われれば、「能力・実績で選んだらそうなりました」としか言いようがないに違いない。

 これこそ世の中から叩かれる考え方・やり方のはずなのだが、なぜか誰もそうはしない(笑)


 かつてプロレスラー・前田日明は、「アントニオ猪木なら何をやっても許されるのか」と問うた。

 今ならさしずめ、「トヨタなら何をやっても許されるのか、何をやっても賞賛されるのか」と問うべきなのかもしれない。

 それにしても本当に、トヨタの新経営陣写真を見て「トヨタ大本営か」と思わなかった人が、小島氏の記事を読んだ何万もの人たちの中には実在するのだろうか……