これは、日本を揺るがす訃報である。
3月2日、宗教団体「幸福の科学」総裁にして至高神エル・カンターレでもある大川隆法 氏が死去した。享年66歳。
幸福の科学と言えば、日本の新宗教界でもトップクラスの巨大教団。
その資産は数百億円に達すると言われ、「幸福実現党」という政党まで有して国政進出を図ってもいた。
今のところ国政進出はできていないが、しかし地方議会ではそこそこの成果を挙げてはいる。
その、一代で巨大宗教団体を築き上げた英傑というか風雲児が、まだ66歳で電撃的に死亡する――
まるで、現代宗教界の織田信長のような人生である。
(⇒ デイリー新潮 2023年3月2日記事:「幸福の科学」大川隆法総裁が死去 長男の宏洋氏は「遺産をめぐる骨肉の争いが始まる」)
さて、これにより当然に気になることが、二つある。
一つは言うまでもなく、この巨大教団の後継者は誰になるのか、である。
なんでも大川総裁には5人の実子がいるが、その全員と仲が悪かったらしい……(ちょっと信じがたいような話であるが)
もし対外的に名が売れている、という観点で言えば――
幸福実現党の釈量子 党首か、
のどちらかが御神輿・傀儡的な女性教主となるのがベストでもあろうか。
そしてもう一つ気になることと言えば、これも言うまでもなく、あの「霊言」というものである。
大川総裁の「霊言」シリーズは、宗教出版界の大ヒット作。
死亡した著名人や歴史上の人物の霊から語りかけられ――存命中の人間だと、その「守護霊」となる――、それを本にして出版するというのは、俗世間からは「イタコ芸」とも呼ばれているが……
文字どおり神をも恐れぬ所業とも言え、確かに誰でも考えはするが、本当にやるような宗教人はほとんどいなかった。
そして現実に不思議なことに(?)、名誉棄損で訴えられたことは一度もないようだ(笑)
これはやはり、織田信長ばりの大胆不敵なバイタリティの現れと言うべきだろう。
こうでなくては、一代で巨大宗教団体を築くことなどできないのだろう。
ちなみにこの霊言シリーズの本の群れは、まことに壮観である。
見ているだけでもエキサイトしてきそうな顔ぶれである。
中曽根康弘や田村正和(笑)は序の口で、秦の始皇帝とか毛沢東まで出てくる。
極めつけには、明治天皇・昭和天皇までいる。
いったい右翼の人たちは、これについて何も思わず何も行動を起こさないのかと思ったのは、決して私だけではないはずだ……
それはともかく、生前ここまで霊言を受け取ってきたからには――
死去により本当に天界のエル・カンターレとなった以上、天界から誰かに霊言を送ってこないというのは、俗世間的にも教団的にも、あり得ないことのはずである。
そう、教団の後継者が誰になるかは、この「霊言受信者」が誰になるかということでもある。
はたして誰が、一番最初にエル・カンターレの霊言を受け取って本にして出版するのか。
そしてまた誰が、二番手・三番手の霊言受信者に名乗りを上げるのか。
これは宗教に興味のない一般人にとっても、興味津々たるところだろう。
ああ、春の幕開けに、宗教界の巨星堕つ――
その先にあるのは分裂か再結集か、まさに神のみぞ知る世界である。