プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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明石市長の泉房穂氏、暴言で退任表明-有能者の「DV気質」

 明石市長の泉房穂 氏(59歳)と言えば、日本で最も賞賛される自治体首長であるとともに、日本一の「お騒がせ市長」でもあった。

 明石市の人口を増加させ、特に子育ての面で日本ナンバーワンにした(と言うイメージを、少なくとも日本人に抱かせた)一方、

 度重なる暴言騒動がその都度物議を醸したのである。

 おそらく、いや間違いなく、暴言の数では日本全国のその他首長のそれを全部集めても到底及ばないだろう。

 その泉市長も、自らへの問責決議案について(小学校の来賓で同席した)市議会議員に「賛成したら許さん」「次の選挙で落としてやる」という最新の暴言を吐いたことで、

 ついに10月12日、現在の任期(来春まで)いっぱいで市長も政治家自体も引退することを表明した。

(辞任ではない。)

(⇒ 神戸新聞NEXT 2022年10月15日記事:退任表明の明石市長、波乱の11年半をまとめ読み)

 さて、この人について私の感想を一言で言うと、「DV気質」だということである。
 
 泉市長は、明石市民から(特に子育て世代から)絶大な支持があるという。

 真に市民のために頑張る、超有能市長とされている。

 暴言癖は、この人のために惜しむべきもの――何でも完璧な人はいない、というニュアンスで語られることが多いようだ。

 しかし、世の中には腐るほどいるのである……

 「外ヅラが良く、人気があり」「仕事でもバリバリに有能」だが、家庭内では「横暴独裁者的なDV暴君」である、という人が。

 ここに一人、ものすごく会社の業績を伸ばした押しも押されぬ超有能経営者がいるとする。

 彼(彼女でもいいが)の任期と評判は絶大である。

 メディア露出も多く、もちろんそれは賞賛ベクトルで紹介される。

 しかし、もし彼が家庭内で家族に暴言を吐き散らす暴君だったらどうだろう。

 私には、

「彼の家族が暴言に晒されても、株主や顧客には関係ない」

「それでも業績は伸び、顧客のためになってるんだから、小さな欠点は仕方ない」

 なんて世論にはとてもならないと思えるのだが。

 
 泉市長は自身の暴言癖(すぐエキサイトする傾向)を自覚し、アンガーマネジメントの講習を受けたこともあるという。

 それはそれで評価と賞賛に値することだが、しかし人間の性格・性癖なんて今さら直るわけがないのも事実である。

 繰り返しになるが、「仕事ができて外部には愛想があり人気もあるが、身内にはDVをする」なんて人は、この世に掃いて捨てるほどいる。

 それは、人間というものの一典型と言ってもよい。

 泉市長もまた、その一人だということだろう。

 そして、「確かに暴言は悪いが、成果を出して支持を受けているのは間違いないのだから退任は惜しい」という意見について思うのは――

 子育て世代が恩恵を受けているのは確かなことかもしれないにしても、それはただ生活がいくらか楽になったということに過ぎない、ということである。

 対して暴言DVを振るわれるというのは、とても「そんなの言葉だけに過ぎない」では済まされない。

 私は、「子育て世代という大勢が助かっているなら、少数の人間が(彼の身内の人間が)暴言を振るわれてもそれは問題にすべきではない」

 などという考えは取らない。

 DV暴君はDV暴君であって、彼が大勢の人の暮らしを楽にしているからと言って、それが免罪符になるとは思わない。

 もしあなたが彼から暴言DVを振るわれる立場であれば、たとえ彼のおかげで大勢の人の暮らしが楽になっていようと、そんなの全くどうでもいいはずである。

 その意味で、「歴史上の人物の再評価」というのもまた、私には非常に胡散臭いものに思える。

 始皇帝は暴君だったが中国の基礎を作った、

 煬帝は暴君だったが大運河を作った功績があった、

 しかしそんなこと、始皇帝煬帝の犠牲になった人たちにとっては、クソどうでもいい功績である。

 このブログでは何度も書いてきたことであるが――

 もういいかげん我々は、誰かを「スゴい人」とヒーロー・ヒロイン扱いして報じること・受け止めることを止めるべきではないか。

 もし止められないのなら、せめて自制すべきではなかろうか。