プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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ドリフ仲本工事死去-「この人はいつどうやって死ぬ」とわかって見るアーカイブ

 10月19日、ドリフターズのメンバーの一人、仲本工事が亡くなった。享年81歳。

 死因は、前日に横浜市の横断禁止の交差点を横断中、車にはねられたことだった。

 これでもう、ドリフのメンバーで残るのは加藤茶高木ブーの2人だけとなった。

 仲本工事と言えばドリフの中で「体操担当」だったこと、あの大きな目立つメガネをかけていることで記憶に残っているだろう。

 そして正直、ドリフの中では最も地味なメンバーだったという印象もあるだろう。

 だがもちろん、記憶の中ではドリフに欠かせないメンバーでもあった。

 年齢的には亡くなっても不思議ではないとはいえ、まさかこんな最期を迎えるとは、当然ながら誰も思ってはいなかった。

 なお「横断禁止の交差点を横断中」という点だが――

 こう言っては何だが、そんなことしている人は日本中に何万人もいる。

 また年齢的にも、そういうことが危険だという意識が薄まっていたという不可抗力的な面もあるのかもしれない。

 おそらく、はねた車の運転手への処分も軽くなると思われるから、その点だけは救いかもしれない。


 さて、こういう著名人の死去について、いつも思うのは――

 彼ら彼女らには、映像やインタビュー記事などのアーカイブが多く残されているものだが、

 我々はそれらを「この人は、いつどうやって死ぬ」とわかって見るということである。

 つい先日亡くなったアントニオ猪木については、その過去映像を「この人は2022年10月1日に難病で闘病中に死んだ」と思って見ることになる。

 そして今回の仲本工事については、ドリフの過去映像を「この人は2022年10月18日に車にはねられて翌日死ぬ」と思って見ることになる。

 この何とも言えぬ気持ち・感慨を的確に表す言葉がないのは、言語の欠点ではないかと思う人も多いのではないか。
 
 もっともこういう気持ち・感慨も、時が経てば薄れていく。

 忘却というか風化というか、人間はいつまでもそういう気持ち・感慨を持ち続けることはないようにできているのだろう。

 しかしどうあれ、こんな形でドリフのメンバーがまた一人欠けたのは、悲しいとしか言いようがない。残念である。