ところでもちろん私には、今になってこうも脆くアサド政権が崩れ去った要因について解説することはできないが……
しかし昔から気になっていたこと、これも崩壊要因の一つだろう、と思うことについて書く。
それは、父から覇業を継いだ二代目独裁者バッシャール・アサド大統領の、何とも言えない頼りない顔立ちについてである。
彼の映像や写真は、いくらでもネットで見ることができる。
2024年現在の今、彼は59歳――しかし「良く言えば」そんな歳には見えないのではなかろうか。
特に「目」について、どう思われるだろうか。
あなたは彼に、眼光や目力(めぢから)というものを感じるだろうか。
これが若い頃の顔になると、ハッキリ言えば万人が「頼りなさそう」と感じるのではなかろうか。
もちろんこれを、甘いマスクのイケメン・イケオジと受け取る人もいるだろうが……
しかしこれが一国の「独裁者」たるべき者の顔かと言えば、絶対違うと答えるしかないだろう。
思えば中東の独裁者、いや世界中で独裁者と言われてきた者の顔立ちには、誰しもそれなりの迫力や威厳とりわけ目力があるものである。
サダム・フセインもカダフィ大佐も末路は悲惨なものであったが、それでも良くも悪くも「独裁者顔」はしていたと思う。
ところが一人このシリアの二代目アサドには、昔からそんな雰囲気がまるでなかった。
もともと彼は初代アサドの次男でイギリスで眼医者をやっていたが、長男が急死したから呼び戻されて大統領後継者にされた経緯がある。
私は別に眼医者が大統領になるななんて言わないし、思いもしないが、彼に限っては実にミスマッチな運命だったと思うのだ。
もし眼医者のままであれば、その顔立ちは「優しい先生」として評判上々だったかもしれないのに……
それがシリアの大統領になったばかりに、反政府勢力を毒ガスで大量虐殺するようなことになったのである。
アサド政権の犠牲者とその遺族にとっては、もちろん二代目アサドは(初代もだが)冷酷非情な暴君に他ならない。
しかし世の中には、「冷酷なバカ」とか「冷酷な小心者・臆病者」がいるものである。
二代目アサドはバカではなかったろうが、しかし大胆不敵な英雄の気概を持つ者――とも、とても思えない。
その顔立ちがその目が、彼がそんなタマじゃないことを雄弁に物語っていると思う。
なんだか独裁者の次男の優男のセガレが、ひょんなことからガラでもない大統領後継者になって内心ドギマギとツラい思いをしている、というイメージがこの人には昔からあった。
思うにロシア軍人もイランのヒズボラメンバーらも、「この人なんだか頼りないなぁ」なんてずっと思ってたのではなかろうか。
二代目アサドには威厳のイの字も迫力のハの字もなく、唯一の取り柄は背が高い(189センチらしい)ことぐらい――と思っていた、などと推測しては推測し過ぎか。
それにしてもこれに比べれば、北朝鮮の世襲「金」王朝は、実に順調に?存続しているものだとも思う。
何にしてもシリアのアサド王朝は、2代54年で終わったようだ。
たぶん中東の民衆は、北朝鮮の民衆よりずっとイキがいいのであろう。
その原因は、やはりイスラム宗教パワーなのだろう。
そして二代目アサドは、兵士や国民が忠誠を尽くそうと思える顔立ちを、まず欠いていたと言えまいか。
一言で言って彼は、独裁者の器でもタイプでもなかったのである。