プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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「社外取締役」という究極の性善説&民営天下り制度(中)

 ところで、よく社外取締役は「客寄せパンダ」とも言われる。

 世間的知名度のある人が任命されたときは、特にそう言われる。

 しかし不思議なのは、客寄せパンダとはそれが会社の売上に貢献するとき――

 または会社のイメージアップに貢献するとき、初めてその役割を果たしていると言えるのだが、

 いったい「誰々がどこの会社の社外取締役になった」というのが、そんなに世間にアピールしているのだろうかという疑問である。

 世間どころか、その会社の株主たちさえ、そんなに気にしているのだろうか。

 誰が社外取締役であるかなんて、誰にとっても別にどうでもいいのではないか。

 推測するに、知名度ある社外取締役」というのは客寄せパンダと言うより、その会社(の首脳部)にとっての「勲章」であり「威信材」なのだろう。

 別にその人を採用すれば業績やコンプライアンスが上がるという「実益」ではなく、

 「ウチの会社はこんな人を擁してるんだぞ」「ここまで来たんだぞ」というような勲章アピールを狙っているのだろう。

 それなら確かに、別に大した仕事をするわけでもない「部外者」「赤の他人」「門外漢」に高給を払うのも無理はない。

 勲章にそれだけのカネを払おうとする人は、世間にザラにいるからである。

 威信材を買う人は、そういう市場が成り立つくらいに膨大な数がいるからである。

 もちろん、こういう威信材・勲章ニーズだけでなく、「ウチの会社はちゃんとしているアピール」がしたい、というのも大きな要因だ。

(あくまでアピールであって、「ちゃんとなる」実益を期待しているわけではない。)


 しかしそうして見ると、実は日本の多くの会社は「そんなに困ってない」のではないか、と思わずにはいられない。

 まだまだそういう、実益なき威信材に大金を払う余裕があると見ないわけにはいかないではないか?
 
(続く)