8月7日、「メンタリスト」DaiGoが自身のYouTube配信で、ホームレスや生活保護者の命は(自分の好きな)猫よりもはるかに軽いという旨の発言を「辛口」として行った。
それに批判が殺到し、8月13日にはいちおう謝罪の配信をした。
とはいえ批判者に対しては、自分の方がずっと多額の税金を納め、従ってずっと生活保護の費用に貢献しているのだから、とやかく言われる筋合いはないと「挑発」している。
(⇒ よろず~ 2021年8月13日記事:炎上のメンタリストDaiGo、生配信で謝罪「今までで一番良くないことをした」 動画広告の収益は全額寄付へ)
(⇒ よろず~ 2021年8月13日記事:メンタリストDaiGo、炎上動画を釈明も批判者を〝挑発〟「残念でした!」)
これはつまり、DaiGoよりはるかに多額の税金を納めている人は世の中にゴマンといるはずだが、その人たちの誰かが
「アタシはあんな気色悪い猫なんか大嫌い。野良猫は全部殺処分すればいい」
と発言すれば、それは他人にどうこう言われる筋合いではないということなのだろう。
そして我々は世界政府を樹立して、イーロン・マスクとかジェフ・ベゾスとかビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットら「地球規模の大金持ち」の統治委員会に全権を委任すべきなのだろう。
しかしそれはともかくとして思うのは、DaiGoもまた「ナチスファン」の一人だったという感慨である。
ナチスファンというのは、ナチスとヒトラーに共感・共鳴する人たちのことである。
ナチスとヒトラーと鉤十字をスタイリッシュだと感じ、この現代という時代を撃ち抜くホンネの銃弾だと思う人たちのことである。
DaiGoは自身の発言を「辛口」だと言っているが、もちろんここで言う辛口とはホンネのことを指している。
(当然「甘口」はタテマエのことだ。)
そして今の日本では(もっと前からかもしれないが……)、「心の支持政党はナチス」という人は、たぶん何十万人単位でいると思う。
さすがにユダヤ人のホロコーストを支持するわけにはいかないが、それを抜きにしたナチスの思想や政策には大いに共感・共鳴する――
そして日本人は幸か不幸かユダヤ人問題にはほとんど全く縁がないので、ナチス思想からユダヤ人排撃とホロコーストを抜くことは、心理的にはまことに容易い。
(「アーリア人種が至上、それ以外の人種は劣等」という命題は、どうも最初から意識に上らないようである。)
よってそれ以外の「障害者や浮浪者(や生活保護者)は世の中の害だし、生かしておいても本人が可哀想」だから積極的に処分すべき、という思想は、容易く受容し共感することができる。
誰でも思うと思うが……
DaiGoが今回の発言をしたとき、いやずっとこのホンネを心の中に温めていたとき、ナチスとの繋がりを意識しなかったなんてことはまずあり得ない。
いくらなんでもこれでナチスを連想しなかったとすれば、知識人の一員とも思えぬ蒙昧ぶりである。
それでもあえて世間に向けてナチス張りの優生思想を表明したのだから、彼がナチスファンであることはほぼ確実と言える。
繰り返すが、今の日本にナチスファンは数多い。
ナチスの反ユダヤ思想以外の思想、特に優生思想を支持する人はどんな階層にもゴマンといる。
いわゆる「下級国民」の中にさえ多いはずだ。
ちょっと前なら出版界やテレビ界はそういう思想を「検閲」し、世には出さなかっただろう。
しかし現代は(言い古された言葉だが)、誰でもYouTubeで自らの思想を世に表明できる。
だから従来は世の人々に見えなかったナチス思想が表に出、それに共鳴する人が爆増しても不思議ではない。
その悪の魅力に魅せられる人は、今後も跡を絶たないはずである。