プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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五輪選手へのSNS中傷コメントについて-水があればボウフラが湧く

 開催中の東京オリンピックでメダルを取った選手らについて、(特に中国から?)SNSによる誹謗中傷コメントが殺到しているそうである。

(⇒ デイリースポーツ 2021年7月29日記事:橋本大輝の採点「公正かつ正確」国際連盟が異例の解説付け声明 中国からのSNS中傷で)

(⇒ スポニチアネックス 2021年7月29日記事:村上茉愛もSNS中傷経験 「すごく残念、悲しかった」 取材エリアで大粒の涙)


 私がこういう中傷コメントをネットに書き込む人について、まず反射的に思うのは、

「なんでアンタらそんなに真剣なんですか」

 ということである。

 自国の選手がメダルを獲ろうが逃そうが、それはほぼ全ての人にとって自分には何の関係もない話である。

 それが大いに関係のあるように感じているとしたら、「精神を病んでいる」と言って差し支えないのではなかろうか。

 そもそもこの人たち、普段から体操競技とかに関心を持っていることさえも怪しい。

 日本人だってそうだろうが、その競技の以前からのファンでもない「にわかファン」が――それも、じゃあ今後はその競技のファンになるかと言ったらそうなるわけでもない人が――

 ただ単にオリンピックだから、自国の選手が勝ったから負けたからと言って誹謗中傷コメントを書き込むというのは、実に気色の悪い光景である。

 
 しかし、それはそれとして……

 いくらアスリートたちがこういう誹謗中傷コメントに悲しみを表明したりしたところで、それがなくなることは一向にないのはわかりきっている。

 中国や日本だけでなく、いるのである。こういう気色の悪い、軽く(重く?)精神を病んだ人というのは。

 たぶん我々が知らないだけで、イスラエルの選手にはアラブ諸国から(たいていはアラビア文字だから、その選手には何を書いているかわからないにしても……)大量の誹謗中傷コメントが届いていると思われる。

 戦争でなく、たかがスポーツで勝った負けたのことであるのに、そんなので誹謗中傷する気色悪いのが世界にはウヨウヨいるのは誰でも予測できることだろう。


 さて、こういう誹謗中傷コメントの根絶が見込めないのであれば、アスリートたちはどうやってメンタルを守ればよいだろう。

 それは、こういうことはただの自然現象だと思うことである。

 いや、正確に言えば、自然現象だと「認識する」ことである。

 実際これは、自然現象ではないだろうか。

 水があれば、ボウフラが湧く。

 同じくネットがあれば、SNSがあれば、そこには必ずボウフラが湧く。

 これは純然たる自然現象に等しい、と言っていいのではないか。

 我々は、水にボウフラが湧くのを迷惑だと思いはしても憤ったりはしない。

 SNSでの誹謗中傷も、それと同じことである。

 そうでなくても、非常に近いとは言える。


 どうせ橋本大輝に大量のコメントを寄せた中国人たちも、その99%くらいは別に体操ファンじゃないのである。

 普段から体操に興味を持って追っかけているわけでなく、今後もそうなりはしないのである。

 それは単に、オリンピックという大きな水溜まりが生じたから発生するボウフラに似ている。

 そういう自然現象が起こるからと言って、人は迷惑に思っても心が傷つくことはないものだ。

 私などがアスリートのメンタルヘルスを云々することはできないが――

 しかし、自然現象にいちいち心を動かされることはない、というのは、当然の真理と言っていいのではないかと思う。