やっぱり注目せざるを得ないニュースである。
スウェーデン政府が「軍備増強」を進め、ロシアとの戦争に備えて国民に非常物資を蓄えるようパンフレットを配布して呼びかけるという。
私は浅学にして、北欧情勢がそんなに緊迫しているとは全然知らなかった。
不明を恥じるべきなのかもしれないが、しかし日本人のほとんど全員は、やっぱりこんなこと知らなかったはずである。
しかし1年4ヶ月前、このブログでは“スウェーデンが徴兵制を復活させる”との報を記事にしていた。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
してみると北欧情勢の緊張は、つい最近始まったわけではないということだ。
ところで、いくらなんでもロシアとスウェーデンが戦争する、ロシアがスウェーデンに侵攻する、などという話は――
さすがに現代では、あり得ない話のように思える。
日本人にしてみればどちらかというと、北朝鮮と日本が戦争するという方がまだしも現実的に感じられる。
ではスウェーデンは、ありもしない脅威を過大に受け止めて徒労を重ねようとしているのだろうか。
これは過剰反応であり、スウェーデン政府は愚かなことをしているのだろうか。
というか、もしこんなこと日本政府がしたら(たぶん「できない」だろうが)、日本国民は蜂の巣をつついたように大騒ぎするはずである。
それも戦争の脅威がいよいよ迫ったからというのでなく、政府がそんなことする自体に逆上する人が多そうである。
スウェーデンは、ナポレオン戦争のとき以来一度も戦争をしたことがない。
(そして現スウェーデン王室の祖は、ナポレオンの幕僚ベルナドットである。)
ナポレオン戦争と言えば19世紀初頭のことなので、スウェーデンはもう200年も戦争をしていない。
第一次大戦も第二次大戦ももちろん中立国としてスルーで、これは日本の江戸時代に匹敵する太平の世の長さと言える。
しかしそれでも、こんなにあからさまに「戦争に備えよ」と国民に布告してしまうのである。
これはいったい、
「性経験の少ない女性こそ、ちょっといやらしいこと言われたぐらいで過剰に反応する」
ことになぞらえていいものだろうか?
ここは一つ、あのウーマンラッシュアワーの村本大輔氏にスウェーデンへ飛んでほしいものである。
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こういう時こそ村本氏は、
「戦争に備えるのは間違っている」
「侵略されたら白旗を揚げるべき」
「少なくとも僕はそうする」
と、スウェーデン政府と国民に訴えるべきではないか。
村本氏のこういう意見は、「物事を知っているか、いないか」という無知の問題ではなく、信念の問題であるはずだ。
だったらその信念を、何ら恥じることなくスウェーデンにぶつけてみればよい。
まさか村本氏は、「日本以外の国はどうでもよい」と思ってはいまい。
「侵略されたら日本人だけは抵抗せず降伏すべきだが、他の国民はどうでもよい」というわけではないだろう。
いや、万が一そう思っているとしたら、どうして日本人だけをそんなに特別視するのだろう。
どうも村本氏のような「非武装中立」論者は、昔から――
「日本だけが非武装中立、侵略には無抵抗降伏」すべきであって、「他の国・国民は抵抗していい」どころか「その抵抗を応援すべきだ」なんて考えているような気がしてならない。
そうでなければ、ベトナム戦争なんかは“不義の戦争”と捉えるしかないだろう。
もちろん、アメリカ(&南ベトナム)と戦った北ベトナムの方を不義と捉えるのである。
アメリカと戦争して死人が出るくらいなら、北ベトナムはさっさと降伏すべきだったのである。
ひょっとして村本氏らは、「自分と同じ日本人だけは、自分のように非武装中立、無抵抗主義であってほしい」と思っているのだろうか。
これははっきり言って、どう見ても“民族主義”である。
世界の中で日本と日本人だけは特別で、特別であってほしい・あるべきだと思う――
たかだか同じ日本に生まれて生きているというだけで、“仲間”で“繋がり”があると思う。
これが民族主義でなくて、いったい何か。
永世中立国のスウェーデンは、徴兵制も復活させるし非常時パンフも国民に配る。
そういえば他国と戦争する可能性なんてほとんどないカナダでさえ、ちゃんと国軍を持っているし兵器開発もやっている。
村本氏らの信念は、そういう国々にぶつけても良いはずである。
いや、ぶつけるべきである。
ただでさえ村本氏は“政治的沖縄芸人”と認知されそうになっているのだから――
(と言うか、政治家になる布石だと思われているのだから)
ここは一つ、世界に自分の信念をぶつけてみてはどうかと思う。