日本人は、母子密着型の親子関係と言われる。
その極点とも思える事件が、最近起きた。
何ともはや、63歳の母親が「引きこもりがちの」息子37歳のために、女湯の盗撮を敢行して逮捕されたというのである。
息子の方は、その盗撮画像をネット販売しようと思っていたという。
(⇒ FNNプライムオンライン 2023年1月21日記事:37歳息子のために女湯で“盗撮” 63歳母親がなぜ? 逮捕された親子の供述とは)
つくづくスゴいなぁ……と思う親子関係であるが、
程度の差はあれ、こういう母子関係というのは(日本では)よくあるのではないか、との疑念も拭えない。
これについては、既にこのブログで記事を書いたことがある。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
それにしても、つくづく思うのだが――
世に「マザコン男性好き」の女性というのは、たぶん一人もいない。
マザコンというのは女性にとって、男性の持つ「罪業」の中でも最悪なものの一つである。
マザコンというのは、男性に対する最大の罵り言葉の一つである。
しかし、それなのに……
そのマザコン男性を作っているのは、疑いなく母たる女性であるという事実。
この悲劇というか喜劇というか、
昔は、女には業(ごう)がある――
なんてことが言われていたものだが、この「マザコン育成・再生産」こそが20世紀と21世紀の女の業である、と感じてしまうのは私だけではないだろう。
別に今回の事件が、母子相姦を思わせるというのではない。
それは日本人男性の性嗜好としてはともかくも、現実にはほとんど全く起こらないはずのものである。
むしろそうでなく、まるで「小皇帝」のような息子が母をババア呼ばわりして命令に従わせている――
という方が実態に近いのだろう。
しかしこれもまた、マザコンや母子密着の一形態というものだ。
この母親も、まさか自分の息子がこんなことになるだろうとは、彼を生んだときは思いもよらなかっただろう。
さらには自分が息子の盗撮に協力するだなんてことは、夢にも想像できなかったろう。
もし自分が第三者として今回のようなニュースを聞けば、「信じられない」と思っただろう。
しかしそれは、自分の身において現実となった。
女の業、母の業、それは恐ろしいものである。
女性はマザコンをとことん嫌い、母子密着を「もちろん」悪いことだと思う。
だがそれなのに、現実はかくのごとし。
「母の愛」は、しばしば毒に――それも、周りの人や世の中にまで害をなす猛毒になる。
これはもしかしたら、「人間は学ばない」でなく「学べない」事項なのかもしれない。