5月9日、韓国警察は「観光目的と偽って」韓国へ入国した日本人女性3人及びその売春を斡旋した地元経営者ら4人を逮捕した。
これは、韓国で日本人女性が組織的売春で摘発された初めての例だという。
なお、この経営者らはネット上で「列島の少女たち」と銘打って彼女らの写真をアップしていたとのこと。
その料金は日本円で最大17万円、他にも30名くらいの日本人女性がこの組織売春に関わっていたという。
(⇒ TBS NEWS DIG 2024年5月11日記事:20代の日本人女性3人を逮捕 韓国警察 観光と偽り入国し売春行為を行っていた疑い)
このニュースで最初に思ったのは、どこの国でも(東アジア圏の国では?)「少女」がウケるということである。
20代女性というのは明らかに少女ではないのだが、それでも商業上は「少女」と銘打たずにはいられない。
この点、大方の日本人男性も韓国人男性も共通した嗜好を持っているのだろう。
それはともかくネット上では、やはり「日本の衰退」を嘆く意見が数多い。
日本人にとって長らく国際売春・海外売春とは、「売春婦が外国から日本に来る」ものであった。
そうでなければ「外国へ買いに行く」ものであった。
高度成長期以来、それこそ韓国や東南アジアへ日本人が盛んに現地売春婦を買いに行っていた時代――買春ツアーとか言われていた――があることは今でも有名である。
それが一転、「安い日本」に見切りをつけ、ついに日本から外国へ売春婦たちが渡航する時代になった……
と、嘆く気持ちはわからないでもない。
しかし私はこのことについて、別にたいしたショックを受けているわけでもない。
それどころか、これが「韓国で初の日本人女性の組織的売春摘発」だということに意外さを感じるくらいである。
こんなこと、ずっと前から行われていたとしてもちっとも不思議には思わない。
だいたい、日本人が売春だの移民だので外国へ渡航していった「貧しい日本」の時代は、それほど昔のことではなかった。
高度成長時代の前、特に戦前なんて、日本人は盛んに外国へ出て行っていたものである。
その時代のアメリカの小説なんかには、アメリカの家庭で使われる日本人の「従僕」「庭師」なんかがやたらと出てくる。
確かに「日本人の売春婦」というのは小説中でお目にかかったことはないが、しかし実際には相当数がいただろうことは想像できよう。
日本が日露戦争に勝った後、第一次世界大戦を経て世界五大国に列された後でさえ、そんな有様であった。
いや、どちらかと言えば明治維新以来、日本はそういう国であった期間の方が長かった――即ち「貧しい国」であり続けてきた、と言った方がいいくらいだろう。
そういう意味で日本人女性が外国へ売春の活路を見出すというのは、むしろ常態に帰ったとか、自然の状態に戻ったとすら言えるのではなかろうか。
そりゃ1回17万円というのは、なかなか日本国内の売春市場では付けられない値段である。
どうせ体を売るなら高い方がいいに決まってる、というのは自然な心理であり経済事象としか言いようがない。
その代わり日本の売春市場は、比較的(それほど重い罪にならないという点で)安全な環境にあると言えるかもしれないが――
しかし、長くもないだろう売春生活でずっと安い売春価格に甘んじることを良しとせず、あえてリスクを取って外国で勝負をかける方を選ぶというのは、およそチャレンジ精神のある人間に共通した心理には違いない。
そう、日本人の売春女性も、かつての韓国とか東南アジアの売春女性と同じであり、別に異なるところはない同じ人間なのだ。
国には栄枯盛衰があり、人の世に因果は巡る。
日本もまた、その例外であるはずがない。