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プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

社会、ニュース、歴史、その他について日々思うことを書いていきます。【プロレス・格闘技編】はリンクからどうぞ。

乙武洋匡氏、5人と不倫 ~一夫一婦制への疑問~

 驚きのスクープが飛び込んできた。

 あの五体不満足」の乙武洋匡(おとたけ ひろただ。39歳)氏週刊新潮に不倫の事実をスッパ抜かれ、本人もそれを認めた。

 しかも、これまで5人の女性と不倫関係を重ねてきたことを、本人から告白したというのである。

(ちなみに「五体不満足」とはプロレスのバラモン兄弟の必殺技の名でもあり、プロレスファンで知らない人はいない。)


 これは大方の人にとって驚きであるとともに、思わず吹き出してしまうニュースでもあることだろう。

 しかし世の多くの男性にとっては、笑い事では済まない意味を含んでいる。

 私がこの話を聞いたとき反射的に思いついたのは、

「手足がなくても5人と不倫できる(=ヤれる)のに、おまいらときたら」

 というフレーズであった。

 いちいち検索してはいないが、この件についての掲示板のほとんど全てにこのフレーズが書き込まれていると思われる。

 モテること、いやたった一人の彼女ができることを希求し、しかもなお叶わない「五体満足」の男性にとって、このニュースは残酷と言えるほどである。

 そしてまた乙武氏を非難糾弾するよりはむしろ、純粋に「スゴい」と思う人、「男を上げた」という感想を抱く人も決して少なくはないはずだ。


 ここで思うのは、もし乙武氏が結婚しておらず3人の子もおらず、未婚の状態で「5人の女と付き合ったことがある」のであれば――

 それは間違いなく周りの人々に「栄光」と感じられたろう、ということである。

 著作活動やスポーツライター・元東京都教育委員などという肩書きと相まって、世間に対する威信はいや増しに増しただろう、ということである。

 とすると乙武氏(のキャリア)にとって、結婚とは全く余計なことだったということになる。

 結婚家庭で生まれた「まともな子孫」を残すという目的がなければ、気が済むまで複数の女性と交わり続ければ良かった。

 それに潮時を感じた頃ようやく結婚すれば、世間は何も言わなかったろうし「五体不満足のプレイボーイ、ついにゴールイン!」とか言ってまた話題作りにもなっただろう。


 そしてもう一つ思うのは、やはり一夫一婦制というのはもはや守るべき価値はないのではないか、という疑問である。

 手足のない乙武氏でさえ、5人との不倫と平行して結婚もでき子作りもできる。

 それはもちろん乙武氏に、肉体的な欠損を補って余りある能力・名声・収入があるからである。

 そういう人が何人もの妻を娶るのは、果たして否定すべき反道徳的なことだろうか?

 この5人の女性というのがお互いのことを知っていたかどうかはわからないが、乙武氏が結婚していることはもちろん知っていた。

 それを承知で不倫に身を投じる女性が、世の中には現実に(大勢、と言ってもいいかもしれない)いるのだ。

 乙武氏の奥さん(正妻)や不倫相手5人ともがそれでいいと同意するなら、乙武氏がその全員と正式に結婚しても、別にいいのではないだろうか。


 いやそんなことはダメだ、一夫一婦制でなければならないのだ、と主張する大きな理由の一つは――

 そんなことを認めたらその他の男に女が回ってこなくなる、いわば「勝ち組」の男だけに利益を独占させて「負け組」の男を虐げることになる、というものである。

 しかし、今の一夫一婦体制下でも、現に負け組には彼女が回ってきていない。結婚したくてもできていない。

 一夫一婦制が廃止されたからと言って、負け組男性の境遇には何の変わりもないに違いない。

 それどころか、少子化問題の解決には非常に有効な策かもしれない。

 いったい女性として、誰が(容姿的・収入的・名声的などいろんな意味の)負け組男性と好んで付き合いたいだろう。

「三流の男の妻になるより、一流の男の妾(めかけ)になりなさい」というような格言・アドバイスがあったと思うが、私はそれが間違った思想であるなどとはとても言えない。


 しかも「一流の人物」が一夫一婦制を守り、必然的に彼らの子どもが少ないということになれば、それはむしろ階級の固定化を促進するのではないかと私には思われる。

 それは子どもたちが受け継ぐ資産の分裂を防ぎ、「権門勢家」の繁栄を持続させる重要な要因になるからである。

 しかし一夫一婦制を廃止すれば、それはどうしても「一流の人物」の子どもを増やす結果に繋がるはずだ。

 そうすれば、彼らはいつか必ず分裂する。

 仲の悪い兄弟姉妹関係や一族の不和が必ず生じ、そこに「下流」の人間が乗じるチャンスが訪れる。

 金持ちの手先・配下として台頭し、実権を奪ったり主家に取って代わる現象が大幅に起こりやすくなる。

 それは下克上の促進であり、社会を流動化させる効果がかなり期待できる。


 一夫一婦制を廃止し、複数人との正式な婚姻を認めたとしても、世の負け組には何ら悪影響がない。その境遇は今までと全く同じである。  

 しかし中長期的な目で見れば、必ずや格差の固定化を防ぐ効果――負け組にもチャンスを与える効果――があると思われる。

 だいたい結婚する当人みんなが「それでいい」と同意しているのなら、複数婚を否定する説得力に満ちた理由なんてあるのだろうか?