氷河期世代または団塊ジュニアの中でも不運な人たちは、おそらく一生報われない人生を送るだろうとよく言われる。
それが今後の日本に重大な悪影響をもたらすだろう、という記事も、それこそ星の数ほど書かれている。
(⇒ 幻冬舎ゴールドオンライン 2022年8月5日記事:手取り20万円…忘れられた非正規の「団塊ジュニア」これから始まる、日本への復讐)
なぜ彼らがそんなハズレくじを引く羽目になったかというと、たまたま彼らが就職に差しかかった時が「企業が採用をものすごく絞る時代」だったからである。
もちろん、その影響はいつか出てくる。
上記引用記事から抜き書きすると、
「当時、極端に新卒採用を絞ったことで、会社組織も歪な形となり、中間マネージメント層が不足。
上層部からの指示が直接若手社員に下りてきて、その若手社員が疲弊する……
世代間ギャップを埋められず、退職者が続出、という事態に陥っている企業が増えているといいます。」
という事態が今、生じている。
しかしこれ、「採用を思い切り絞れば、会社の世代・年齢構造はイビツになる」なんてことは、どんなよほどの究極バカでも絶対にわかりきったことのはずである。
今さらそんなことで苦しんだり頭を痛めたりするなんて、日本の会社はバカぞろいなのであろうか。
いや、今まさに会社にいる人はむしろ犠牲者だとして――
かつて氷河期世代の採用を絞った時代の会社の人たち、特に経営層は、究極バカにも劣る底なしのアホばっかりだったのだろうか。
それとも彼らに限らず、やっぱり人間は世界中どこでもバカばっかしなのか。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
もちろん当時の大人なり経営層には、それなりの言い分があろう。
当時はおそらく、「採用を絞らなければ、将来プランどころか来年の行く末さえ覚束ない」という判断があったのだ。
(私としては、「そういう雰囲気があったんだ」と言う方が正解ではないかと思う。
そして会社という会社が、そういう雰囲気に流されたのだと思う。)
しかしそれでも、そんなことをすれば将来的に――たった10年か20年後に――、会社の中間層が砂時計のようなクビレになってしまうなんてことは(繰り返しになるが)どんなバカでもわかるのである。
それなのに日本の会社の大部分はその対策をしなかったということのようなので、やっぱりどいつもこいつもバカばっか、というのが陰鬱なる真実なのだろう。
だが私は、この件については、人間がこれほどまでにバカになる理由がわかる気がする。
人間だれしも、
「そうなることはわかっているが、しかし自分が対処するんじゃない」
「それが問題になる頃には、自分はここ(会社)にいないだろう」
という意識があるからだ。
こういう意識がありさえすれば、人はどこまでも無責任バカになれる。
「今を乗り切ることが先決で、先のことなど考えている場合ではない」
という意識が重なれば、まさにバカに金棒と言ったところだ。
不運なことに団塊ジュニアの氷河期世代は、その多重バカ現象の犠牲者となった。
むろん人間みんなバカならば彼らもみんなバカなのだが、しかし犠牲者になる方のバカであった。
これは不運としか言いようがない巡りあわせだ。
しかし彼らの不運なる怨念と復讐心が、自分が就職時期に当たった当時の大人世代――今現在の高齢者――に向かうのは、ある意味合理的で無理もない。
だから確かにこれから20年ぐらい、日本では“復讐の季節”が続くだろうと思われる。
それが終わるのは2040年前後だろうか。
それが「氷河期世代は危険な世代」とのレッテル張りに繋がるなら、ホントにとことんこの世代は不運な世代である。