1月15日午前、大学入試共通テスト会場である東京大学前の路上で、70代男性・17歳高校男子・17歳高校女子が、17歳高校2年生に刺傷される事件があった。
この凶行を行った高2男子は、超有名進学校に在学するエリート少年であるらしいが――
なんでも
「医者になるため東大を目指したけれど、約1年前から成績が上がらなくなって自信をなくした」
「医者になれないなら自殺しよう、人を殺して罪悪感を背負ってから切腹しよう」
と思ったのが犯行の動機とのこと。
彼はナイフと折りたたみ式のノコギリの他、
可燃性液体(エタノール)の入ったペットボトルと瓶を合わせて11本、
同じくエタノール入りの栄養ドリンク3本と着火剤と結びつけたものを3セット、
さらに着火剤20本以上を身に着けていたという。
まるであの、「八つ墓村」の狂気の青年を思わせる「武装」ぶりである。
そして東大前に来るまでに、東京メトロの駅で実際に着火剤を撒いて火を付け(ボヤ4件)、電車内にも液体を撒いたようだ。
まさに「一人テロ活動」であり、欧米だったらイスラム過激派の関与がまず疑われたのではなかろうか。
さてこの事件、まさに「学歴社会のひずみ」という聞き飽きたようなフレーズがピッタリ当てはまりそうな事件である。
そしてまた、いずれ起こるに違いなかった事件でもある。
これは私のみならず、皆さんも学生時代に思ったことがあるはずだ……
この試験会場で殺人テロが起これば、確かに大量の人が殺されるのではないか、と。
こういう想像(妄想?)をした人は、少なくとも男子の間では今まで何十万人もいたはずである。
むしろ皆さんは、今までそういう事件が起こっていなかったのを不思議に思うくらいではないか。
しかし今、試験会場そのものではないが、その入口でこういう事件が(ようやく)本当に起こったわけだ。
誰もが予感するように、こんな事件はこれが最後ではないだろう。
この少年のような「挫折せるエリート」は、日本中にまだまだゴマンといるからである。
こういうテロ的犯罪に走る動機が「宗教」ではなく「挫折感」であるのは、日本というか東アジア圏の特徴とも言えるかもしれない。
(続く)