11月4日、神戸地裁は、2017年に3名殺害・2名重傷の結果をもたらした30歳の男に無罪判決を下した。
もちろん理由は、俗に言う「狂人無罪」――
すなわち、心神喪失による責任能力のなさを認定したことによるものである。
これについて私は、かねてから非常に不思議に思っていることがある。
この「狂人無罪」及び少年法による「少年無罪」ほど、多くの国民が共通して「おかしい」「間違ってる」と思っているものは少ないだろう。
それなのになぜ誰も、この刑法と少年法の改正をハッキリ主張して選挙に立候補する人がいないのだろうか。
寡聞ながら私は、そういう立候補者のことを聞いたことがない。
私はこれ、世の立候補者(の候補者)にとっては、まさに肥沃なフロンティアであり正真正銘のブルーオーシャンだと思うのだが。
おそらく今の日本で「あなたが改正して欲しい法律」のアンケートを採れば、ダントツのトップに来るだろうのが「狂人無罪」の刑法と「少年無罪」の少年法だろう。
これに比べれば、憲法改正さえもメじゃないのではないだろうか。
こんなに世間の人の「共感」を得るのが目に見えているのに、なぜ誰も刑法と少年法の改正を訴えて立候補しないのか――
かのNHK党が「NHKをぶっ壊す」というたったワンイシューで見事?国会議員の議席を獲得した例があるというのに……(今回の衆院選で失ったが)
ましてや狂人無罪と少年無罪への反対は、NHK受信料なんかよりはるかに世の共感を呼びそうなのに、実に不思議なことである。
そう言えば世間はあれほど不倫を犯罪と同一視して叩きまくるのに、なぜか「姦通罪」の復活を主張する政治家も立候補者も誰もいない。
さらにそう言えば、メチャクチャな言動をして炎上商法を狙っているようなYouTuberらでさえも、なぜか狂人無罪・少年無罪への反対や姦通罪の復活を主張することはないようである。
どうやら「人に新たに罪を負わせる」ことというのは、どんなに世の中の人が賛成していても、それでもおおっぴらに主張するのをためらわせる要素があるようだ。
しかし私には、このフロンティアがいつまでも処女地であるとは思えない。
いずれ近いうちどこかの誰かが、刑法と少年法の改正をハッキリと訴えて立候補に及ぶはずである。
いや、もしあなたが地盤も知名度もない徒手空拳なのに、それでも国会議員の選挙に出ようとするなら――
そのときはこの、「狂人無罪・少年無罪への反対、刑法・少年法の改正」のワンイシューに絞って訴えてみることをお勧めする。
絶対当選とは言わないにしても、大善戦は期待できるはずである。
少なくとも、一躍話題の的になって知名度が急上昇するのは確実ではあるまいか。