4月21日にスリランカ各地で発生した同時多発自爆テロの死者は、321名に上っている。
そして23日、スリランカ政府は全土に非常事態宣言を発令するとともに、事件はやっぱりイスラム過激派が(国際的に連携して?)主導したものだと発表。
何でも60代のイスラム富豪、ユスフ・モハマド・イブラヒムなる人物がその中心人物だったらしく、警察がその家に捜索に行くと爆発が起こり警官3名が死亡したという。
(彼の息子2人は今回、人間爆弾になって死んだらしい。)
また、「何と」と言うべきか――
このたびのテロは、今年3月に極右白人がニュージーランドで起こしたモスク襲撃大量殺人事件への報復として起こされたものだともいう。
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これに加え、やや久しぶりに思えてしまうが、またまたイスラム国が今回のテロをやったのは自分たちだと犯行声明を出したとのこと。
これはまさに上記3月15日記事で書いたような、「イスラムと白人のテロ応酬」そのまんまである。
ただしそれはヨーロッパではなく、スリランカという意想外の国で起きた。
「ニュージーランドの敵をスリランカで討つ」というか、何とも脈絡のない報復である。
スリランカは最近の国際ニュースにはほとんど出てこない国だが、「宗教の坩堝」と言っていいようなとても特色ある国である。
最も優勢なのは仏教だが、キリスト教徒もイスラム教徒もヒンドゥー教徒もかなりの割合を占める。
私は世界の宗教情勢や国際情勢に詳しいわけでは全然ないが――
世に「イスラム過激派」は腐るほどいても、「仏教過激派」なんてのが存在するのはこの国くらいではないかと思う。
20世紀末に猛威を振るった「タミル・イーラム解放の虎」なる組織は、たぶん世界史上で最も自爆攻撃を盛んにやった集団だろう。
(ただし、日本の神風特攻隊を除く。あれは国家規模でやった自爆戦術なので、当然規模も大きい。)
もしかするとスリランカは、今回の件で再び自爆テロのメッカとなるかもしれない。
2009年に内戦が終わってようやく平和が戻ったきたスリランカにとって、またも悪夢の再来である。
今回のターゲットとなったのは「観光客が利用するホテル・レストラン」「キリスト教会」で、どうも仏教寺院は標的になっていないようだ。
しかしこれで現地のイスラム教徒は、キリスト教徒との関係を極めて悪くするだろう。
世にも珍しい仏教過激派というのも、ますますイスラム教徒を目の敵にしそうである。
自爆テロの本場とも言えるスリランカこそ、人種と宗教がらみのテロの応酬という、第三次世界大戦の舞台になってしまうのだろうか。
そしてイスラム国は本当にまだ、こんなテロの黒幕になれる能力を保持しているのだろうか。
「事件発生から間髪入れず」というタイミングでの犯行声明ではなかったことから見て、これもまたイスラム国伝統の「尻馬式」戦術ではないかと思えるのだが……