金沢の女子大生の6割が「デートDVをしたことがある」とのアンケート結果が出たらしい。
対する男子大学生は5割で、女性の方が男性にデートDVを働く割合が高いことになる。
もちろんこれは「意外」で人目を惹く結果なので、新聞記事の見出しもそうなっている。
(⇒ 読売新聞 2018年12月25日記事:女子大学生の6割「デートDV、したことある」)
まず誰もが思うのは、「金沢の女子大生は、すごく正直なんじゃないか」との感想・疑問だろう。
自分はデート相手にDVをしたことがありますなんて、なまなかな神経で答えられるものではない(はずだ)。
しかし記事をよく読んでみると、その疑問は氷解する。
なんでもデートDVの定義には、
●交際相手からの暴力や暴言
だけでなく、
●電話やメールの履歴を無断で見ること
●相手の行動を束縛すること
●デート費用を全く払わないこと
も該当するようなのだ。
なるほどこれらは「暴力」を除けば、いずれも女性が男性にやりそうなことである。
これはもちろん「偏見」のカテゴリーに入るのだろうが、しかし女性自身でさえ認めそうな「事実」だと思われる。
たとえアンケートをやらなくても、こういうことをするのは女性の方が男性を上回るというのは、周知の事実と言ってよいのかもしれない。
おそらく、多くの男性が気づいていることだと思うが――
確かに女性には、「相手の行動を束縛する」「電話やメールの履歴を無断で見る」人が、男性よりはずっと多くいそうである。
それが昂じると「相手の物を勝手に捨てる」「相手の部屋を勝手に掃除する」「やめろと言われてもそうする」という具合になるのだが……
「妻にプラモや鉄道模型を勝手に捨てられた」などという悲劇は、確かにネットや新聞に間欠的に出てくるのだ。
(その反対、「夫が妻の物を勝手に捨てた」なんて記事は見た憶えがない。)
「女性の支配欲は強い」というのはよく言われるが、たぶん正確には「身内意識が強い」ということになるのだろう。
身内意識が強いとは、つまり「身内には何をしてもいい」ということである。
そういう人は夫の物を「勝手に」捨てるのが悪いこととは思っていない。
むしろそれは「当然のこと、いいこと」をしているくらいに思っているはずである。
あれは一種の母性本能に違いないと思われる。
だが男性の側も、女性の側を「これだから女は……」などと嘲笑っている場合ではない。
この「身内には何をしてもいい」という感覚は、イジメだのブラック企業だののいわば「思想的背景」だろう。
クラスメイトも社員も、果ては「同じ日本人」というだけで「身内」と認め、
だから何をしてもいいと普通に/直感的に思う。
これは男女を問わず、平均的な日本人の感覚回路というものである。
ここであえて男女を区別するなら、
●女は現実に身近な人間を身内扱いする(家庭的)が、
●男はそれより広い範囲で身内扱いする(社会的)
傾向がある、ということになるだろうか。
ただ一つ確かだと思えるのは――
これからも「夫の物を妻が勝手に処分する」話は頻々と聞くだろうが、その逆の話は相変わらず聞くことがないだろう、ということである。
そして「相手の電話やメール履歴を勝手に見る」人の割合も、女性の方が男性よりずっと高いままだろう。
昔の人ならこういうのを、「女の業(ごう)」と呼んだだろうか……