福岡県は赤村という村に、全長450メートルの巨大前方後円墳があるんじゃないかと話題だそうだ。
そしてもちろん、かの「卑弥呼の墓」に関連付けられている。
これについて地元や周辺自治体の文化財担当者らは、この丘陵は自然地形だとして明確に否定しているらしい。
この「自治体の文化財担当者」というのが知見を持つ学芸員のことなのか、ただの人事異動でその担当になった普通の公務員なのかは述べられていないが……
たぶん、前者なのだと思うことにしよう。
それはともかく記事の写真を見る限り、確かに「自然地形」だと断言されても仕方ない。
こんなところに巨大前方後円墳が本当にあるのなら、それはもう考古学のセオリーをぶち壊す大・大発見ではあるが――
しかしやはり、「火星の人工物」とか「南極のピラミッド」とかいうもののローカル版と見た方が、ずっと当たっているだろう。
ところで、いささかでも日本古代史に関心のある人――なかんずく邪馬台国に興味がある人は誰でも思っているはずだが、
いまだ“墓荒らしになる”からと手つかずのままになっている多くの天皇陵は、いつになったら全面発掘されるのだろうか。
特に卑弥呼の墓の大本命と世評の高い箸墓古墳(奈良県)なんて、もしそれを発掘して「親魏倭王」の金印でも出てきた日には、長年にわたる邪馬台国論争も一発で決着が付くはずなのだ。
しかも箸墓古墳はヤマトトトヒモモソヒメ(倭迹迹日百襲姫)という人の墓で、この人は天皇でもない皇女である。(第7代天皇・孝霊天皇の娘)
本当に人類にとって、古代エジプトの王家が今に至るも続いていなかったのは幸いである。
もし今の王家の墓荒らしになるからと言う理由でピラミッドやスフィンクスや「王家の谷」の発掘・探索が許されていなかったとしたら――
いま知られている古代についての知識は、さぞ貧弱で謎だらけのものになっていた。
さて今の天皇家は、眞子さまと小室圭さんの結婚破談問題で揺れている。
それでなくても次の天皇は、(次期皇后になるはずの)雅子さまのせいもあり、はなはだ頼りない存在と見なされている。
(少なくとも、カリスマ性を感じる人は皆無だろう。)
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
そして長期的に見て、さしもの天皇家といえどもいずれ廃絶の危機にあることを疑う人は、よほどの保守主義者に違いない。
ここは一つ(下世話に言えば)、何らかの人気回復策が必要なはずだ。
とはいえ天皇家にはむろん、減税なんかする権限はない。
そこで白羽の矢が立つのが、「天皇陵の発掘許可」というものである。
おそらくこれをやれば、天皇家の人気は上昇する。
左派でさえこれを「評価」する。
日本古代史及び邪馬台国に興味を持つ人の数を舐めてはいけないのであって――現に、そういう話題についての新聞報道はけっこうなスペースを割かれるものであって――、
たぶんネットの世界なんかは(いつものことと言えばそうだが)、「天皇陛下の決断に絶賛の嵐」状態になりそうではないか?
そしてたぶん、いやきっと、現代の「聖断」とか書かれるのは請け合いである。
もちろん、皇室や宮内庁の人たちがこんな案に賛同することはないだろうが……
“古代史のことが知りたいから天皇制は廃止しろ”なんて思う人たちの層というのは、日本中にけっこう厚く広く広がっているような気もするのである。