2月25日、中国の国営新華社通信は――
最高指導者である国家主席の任期を「連続2期まで」と定めた憲法を改正する議案を、中国共産党中央委員会が全国人民代表大会(全人代)に提出した、と伝えた。
3月5日に始まる全人代で可決されれば(されるに決まっているが)、今の主席の習近平が死ぬまで国家主席でいられるわけだ。
もちろん習近平は、死ぬまで主席の地位にありたいはずである。
もしいま最高権力者だったら誰も彼も――もちろん私もあなたも、ずっとずっとその地位にとどまりたいと願うに違いない。
それは人間の人情であって、そうでない人は滅多にいない。
また、最高権力者でない人たちにも、「今の状態がずっと続いてほしい」「その方が面倒でない」と思う人はワンサカいる。
これもまた人間の人情である。
しかしながら、まともな国なら、最高権力者の地位を「任期なし」とすることはしない。
そういうことをやるのはたいてい三流国家だし、そういうことをやるからこそ三流国家と見なされている。
いまだに終身独裁者を生み出せるようにするような、バカな土人国だからである。
ところで中国は今すでに、購買力平価で見れば「GDP世界一、世界最大の経済大国」である。
名目GDPでは2010年にはすでに日本を抜き、2029年にはアメリカをも抜くのではないかと言われている。
しかし、にもかかわらず……
「21世紀は中国の時代」というような記事を、我々はあまりネットでも見かけることがない。
欧米の政治経済学者の中には、いかにもそんなことを言いそうな人がたくさんいるだろうのに、である。
これはたぶん、あのバブル時代に、「21世紀は日本の時代」とか言っていた苦い経験があるからだろう。
もう今の政治経済学者には、「21世紀はどこどこの時代」なんてことは、軽々しく言っちゃいけない(言ったら恥をかく)という雰囲気が染みついているのかもしれない。
しかし中国には、やはり「次の世界覇権国は中国」と言わせるのをためらわせる、何かがあるのだろう。
「何か」と言っても、別に謎めいたことではない。
何と言っても中国は、いまだに普通に「ネット統制」をやっている。
そして今また、「最高指導者の終身支配可能化」なんてことをやってしまった。
これはむろん、今の中国が根本的に土人国で三流国で、詰まるところ「遅れた国」であることの証明になる。
(「中国人」全般のことを言っているのではないので、念のため。
あくまで今の「中国政府」のことである。)
ちょうど1年くらい前このブログで、現在の「中国共産党王朝」の時代は、あと7~32年くらいで終わるだろう、と書いた。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
この予測、1年経った今でも考え直す必要はなさそうである。
最近の(明朝以来の)パターンから見て、中国統一王朝の寿命は300年くらい。
しかしこの動きの速い現代では、100年持てば御の字だろう。
1949年建国の中華人民共和国(共産党王朝)は、たぶん2049年を越えることはできない。
習近平が終身主席になることは、おそらく後世から「亡国の予兆」扱いされると思う。
歴史的パターンに従い、中国共産党王朝は滅亡する。
しかしその混乱が早期に収束して新しい統一王朝ができるのか、
それとも歴史が先祖返りして五胡十六国・五代十国の本格的分裂時代が来るのか、
こればっかりはわからないが……
(とはいえおそらく、ウイグルなんかは独立した上で、本当の中国本土では新しい統一王朝が成立するのだろう。
この現代で「異民族の侵入・支配」というのは、あまり起こりそうにないからである。)