プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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日本企業の「コンプライアンス」が機能しない真の根本的な理由

 今回の記事は短く。

 先日、神戸製鋼所・日産・東芝(そして最近破綻したエアバッグのタカタも入るだろう)といった日本を代表する大企業が、揃いも揃って不正や不祥事を隠蔽する企業体質であったことについて記事を書いた。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

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 これは絶対確実だが、これら企業はこれから「コンプライアンス法令遵守)を確実にする対策をとる」とアピールするだろう。

 もちろん誰でもすぐ思いつくように――

コンプライアンス対策室」

コンプライアンス委員会」

コンプライアンス研修」

とかを立ち上げたり行なったりする、という対策をである。
 

 しかしこれも絶対確実と言ってよいが、それらの対策をいくら行なっても無駄である。

 仮に神戸製鋼所や日産や東芝では二度と起こらないにしても、それ以外の日本の大企業ではまた不正・不祥事とその隠蔽が起こるのである。

 それは単に、「自分が事件(報道)の対象にならなきゃ骨身に染みない」というだけの理由ではない。

 なぜか。

 なぜなら日本企業の「コンプライアンス体制強化」とは、「今以上に社内の上下関係(封建身分関係)を強化する」ということに他ならないからである。

 コンプライアンス体制強化とは、今以上に「上に逆らえなくさせる」構造にすることを意味しているからである。


 確かに、企業の不正は何も日本だけで集中的に起こっているのではない。

 エンロンワールドコムの破綻、そしてフォルクスワーゲン社の不正事件は、まだ記憶に新しいところである。

 しかしいかに日本企業がコンプライアンス強化に力を入れているとアピールしても、

 そして実際にやっていたとしても、

 それは絶対に欧米企業のように「社員が社長をファーストネーム(日本でいう“下の名前”で呼ぶ」なんて方向に行かないのは確実である。

 何も欧米企業のそんな風習を無条件で礼賛するわけではないし、本当に欧米の大半の大企業がそんななのか知りもしないのだが――

 「普通の日本人」すなわち人間は平等だと思っているのに「人間には『上』と『下』がある」と普通に信じ・それが正しいと思っている人々には、そんな風習が「良い」と思えるわけがないのだ。

 だから日本では「上の不正にモノが言えない」状況は、これからもずっと続くと考えられる。

 それが「日本の美風」だと信じて主張するのは結構だが、それで欧米企業に競争で負けたり見下されるようになっては、もう何をか言わんやである。

 坂本龍馬が言ったとされる言葉をもじって言えば、『ニッポンの夜明けは永遠に遠いぜよ……』というところだろうか。