そうかと思うと6月9日にはイスラエルのテルアビブで同性愛者らが人権を訴える「プライド・パレード」が行われ、20万人を超える参加者があったという。
この記事によると、なんとテルアビブの人口25万人の4分の1が同性愛者とも言われているそうだ。
しかもさらに、イスラエル政府自らが観光振興を狙ってパレードのPRを行っているという。
いやはや、ヨーロッパは何と進んでいることだろうか。
日本の“進歩派”が、「それに比べて日本はものすごく遅れてる」と言いたくなるのも無理はない。
思えば欧米の首脳が同性愛者だというのは、もはや珍しいニュースでもなくなっている。
かつては――それもけっこう最近までは――「コイツは同性愛者だ」との秘密を握られることは、欧米人にとっても致命的だった。
政治家ともなればなおさらで、それをネタにスパイを引き受けさせられたり、脅迫・ゆすりに屈服させられた人もさぞ多かったことだろう。
しかし時代は変わり、もはや同性愛は政治家に取ってすら秘密にするものでなくなった。
これは外国・政敵・マフィアたちからの脅迫の種を無効化するものであり、それだけでも喜ばしいことと言える。
本当に時代はつくづく変わったものだ。)
しかしもちろん、世界は同性愛を是とする人々ばかりではない。
現代の世界は、「同性愛を容認・擁護する陣営」と「同性愛を侮蔑・攻撃する陣営」に区分けすることができそうでもある。
そしておそらくわが日本は、まだ後者の陣営に属しているのだろう。(政府が、ではなく国民が、である。)
思うにイスラム世界の人々は、この手のニュースが届くたびに「やっぱり欧米は大悪魔。絶対共存できん」とか思っているのではなかろうか?
そういえばなぜイスラム国は、テルアビブでの同性愛パレードにテロを仕掛けなかったのだろう。
そんなにイスラエルの警備は堅いのか?)
同性愛の祭典なんて、イスラム過激派にとっては許しがたい冒涜であり参加者は皆殺しにする勢いであってしかるべきだ。
ロンドン橋で車を暴走させナイフを振り回す連中の裏で糸を引く場合ではなく、まさにこういうイベントにこそ精力を集中させるべきではないか。
しかもはっきり言って、もし同性愛イベントを流血の惨事に叩き込めば、世界中から大きな支持と共感を得られる見込みが高いだろうに……
いい加減イスラム国はテロをやるなら、信念と一貫性を持ってやるべきである。
狙うなら同性愛を公言している欧米首脳を狙うべきである。同性愛イベントで自爆テロをやるべきである。
発狂した人間が錯乱してやるような、ただの通り魔と同じレベルのチンケ犯罪の後援をしてるヒマなどあるのか。
イスラム国が戦い滅ぼそうとしている相手は、「同性愛を容認・擁護する陣営」と完全なまでに重なっているはずだ。
まさか今更、「そんなことしたら世界の反応が怖い」などとビビッているわけでもあるまい。
そして、前にも同じようなことを書いたのだが――
これは多くの人が不思議にも不当にも思っているだろうが――
(もちろん、何も言ってないわけではないかもしれない。私が知らないだけかもしれない。
しかし、そんなに声高に言ってないのは確かに思える。)
まさか、女性の地位が低いのも性的少数者に厳しいのも、「宗教だったら仕方ない」とか思っているのか。
それとも「イスラム圏もヒンズー圏も“世界”のうちに入らない」からどうでもいいのか。
日本に対して強い態度に出ているのは、「一応日本は“世界”のうちなので、言いやすいところに言っている」ということなのか。
世界は今でも、冷戦時代とは違った形で二分されているのである。