森友学園が豊中市の国有地に4月開校を目指していた“瑞穂の國記念小學院”は、大阪府が不認可にした。
(そして、実際の入校予定者はたった5人だったようである――こんな騒動になってから入学辞退した人が多数に及ぶとしても、あんまりな人数だ。)
3月16日には参議院予算委員会の調査団(団長は山本一太 氏)が問題の国有地を訪れ、そこで籠池理事長はまたも爆弾発言をした。
「我々がこの学園をつくり上げようとしたのは、みなさん方のご意思があってこそだと思う。
しかもそのご意思の中には、誠に恐縮ですが安倍内閣総理大臣の寄付金が入っておりますことを伝達します」
とのことで、安倍首相夫人の昭恵氏が学園に講演に来たときに100万円を渡されたそうだ。
ここに来て自民党は、とうとう籠池理事長の国会への証人喚問(証人には偽証罪の適用がある)に応じることになった。
民進党との合意によれば、3月23日に衆参両院の予算委員会で籠池理事長が登場することになる。
そして16日の午後、籠池理事長自身も「すべては国会でお話しすることにします」とこれに応じる意志を示した。
しかしこれまでの経緯を見るに、籠池理事長という人も相当に朝令暮改の人である。
小学校が不認可になったときは「裁判に訴える」と言っていたのに翌日(3月10日)には認可申請を取り下げることとし、
国会への参考人招致にも「出る」と言ったほとんど直後に「やっぱり出ない方がいいと思う」と言ったり――
よって今回も、3月23日が間近になれば「やっぱり国会には出ない」となっても全く不思議ではない。
そして、もし今回ばかりは証人喚問に応じたとしても、またあの“独演会”が繰り広げられるような気もする。
「●●(選手名)は何を語るのか!」とは、プロレス実況アナウンサーがしばしば口にするセリフである。
よってここも一つ、「籠池理事長は、国会で何を語るのか!」とアオリ口調でどこかのアナに叫んでほしいものだ。
ところで本件国有地事案、「安倍政権を何としても倒したい」人にとっては、まさに千載一遇のネタであるには違いない。
籠池理事長の言うように安倍首相が――「私人」としての妻・昭恵氏でも、国民の意識の中では安倍首相自身と同じである――本当に100万円を(開校費用として)寄付したなら、ますます政権打倒の追い風になる。
ただ思うに、安倍首相が森友学園にカネを寄付したからと言って、辞任にまで追い込むネタとしては(本当は)少し弱い。
仮にユニセフがとんでもない違法行為をしていたとして、ユニセフに寄付した政治家は責任を問われるべきだろうか?
例の「安倍首相頑張れ、安保法制国会通過よかったです」と園児に言わせていたのは確かにヒドいが、さすがにこんなこと安倍首相も知っていたわけではないだろう。
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しかしそれでも、“悪のイメージ”というものは怖いもので――
内閣総辞職とまでは行かずとも、安倍首相と自民党にとって(少なくとも数ヶ月くらいの間は)大幅なイメージダウンになるのは避けられない。
そして籠池理事長のこれまでの言動から見ると、偽証罪もものかは国会において「あることないこと」喋り散らす光景は、かなり現実味があると感じる。
何となくこのシチュエーションは、何が起こるかわからないプロレスの試合を感じさせるものがある。
アントニオ猪木参議院議員や馳浩衆議院議員は、もしかしたらプロレスラーとしての血が騒いでいるのかもしれない。
(そしてまた、「こんなことは何度もあった」と思っているのかもしれない。)
それにしても哀れをとどめるのは、近畿財務局の売却担当者である。
豊中市議の木村真 氏らは3月11日、近畿財務局の「氏名不詳」職員を「著しく低い価格と知りながら、学園に利益を図り、国に損害を与える目的で売り渡した」背任行為に当たるとして裁判所に告発する方針を発表している。(3月22日に告発予定)
私は今のところ本件は、政治家の圧力があったと言うよりは「近畿財務局が、強引にゴリ押ししてくる客に対して“配慮”してしまった結果」との説を採るものであるが――
そんな“配慮”をしたあげく、自分が告発されちゃうのである。
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しかもこの氏名不詳氏を、森友学園が救援したり訴訟費用を出してあげたりする可能性は全くない。
やっぱり配慮なんてするものではなく――
もしも配慮を要求されたときには、
「じゃあアナタは、私が困った立場に追い込まれたら助けに来てくれるんですか? 来ないでしょ?
何で私がアナタのために自己犠牲を払うんですか? 私は断じて他人の便宜のために自己犠牲は払いませんよ」
と堂々と言うべきなのがよくわかる。