世間は今、広島県府中町立・府中緑ヶ丘中学校の中学3年男子生徒が自殺(昨年12月)した話題で持ちきりである。
これについてはなかなか複雑・不明な経緯があるようで、報道記事を読んでもよくわからない点が多々ある。
私はこういうのは、教育評論家などより歴史学者(文献検討に慣れている)が論じた方がまだましなのではないかと思うが――
そう言う私も、何らかの論をあえて立てるほどには記事を読み込めていない。
よってここでは、論と言うより感想を書く。「雑感」というややもすれば不謹慎に聞こえるタイトルにしたのも、まさに雑然とした感想だからである。
さて、諸記事を一覧して真っ先に感じられるのは、この府中緑ヶ丘中学校というのが相当に程度の低い学校だという印象だろう。
以下、府中緑ヶ丘中学校の作成した報告書に基づき、時系列順に書いてみる。アルファベットも同報告書に準じるものである。
1.2013年10月6日(日曜日)
発端になった「万引き」が発生。(自殺生徒が関わったのではない。)
当時1年生の男子生徒2人が万引きしたとコンビニから学校へ通報があり、たまたま部活指導で学校にいた教師Bがそれを受けた。
教師Bは当該生徒2人の保護者及び他の教師と一緒にコンビニへ行き、その場で謝って事を収めた。(コンビニは警察に言わないことになった。)
なおこの2人の他にももう一人の生徒が別の場所におり、その生徒にも話をして帰宅させている。
教師Bは、教師E(生徒指導主事)にこのことを報告し、関わった生徒の名字を伝えた。
そして教師Eは、生徒指導推進委員会資料へのデータ入力を行なう際、誤って自殺生徒の名を入力してしまうのである。
2.2013年10月7日(月曜日)
1年生による、対教師暴力行為事案が発生する。
3.2013年10月8日(火曜日)
生徒指導推進委員会が開かれる。使用資料において、万引き生徒の名前が間違っているのを参加教師が指摘。
各自の手持ち資料では修正された。(紙の資料を手書きでそれぞれ直した、という意味だろう。)
しかし、(パソコンの)元データ自体は修正されなかった。
なお、当然ながら、この日の議題で優先されたのは万引き事案ではなく前日の対教師暴力事案であった。
万引きの翌日に、すぐさま対教師暴力――
これだけでもこの学校のヤバさは充分に伝わってくるというものだ。
この報告書には、平成25年(2013年)に同校で発生した問題行動の件数は「176件」、関わった生徒数は延べ302人(うち、1年生が146人)だったと書かれている。
また産経デジタルiza! 3月10日記事によると、学校側が2015年中に「触法行為がある生徒」として担任教師に本人に確認するよう求めた人数は「19人」だそうだ。
そして本日現在、ウィキペディアの「府中緑ヶ丘中学校」の項には、その生徒数は632人とある。(クラス数は20)
少なくとも私には、この発生件数も関与生徒数も異様に高いように感じられる。
「荒れた学校」というよりも「修羅の学校」という言葉が思い浮かんできてしまう。
こんな学校に勤務したいとか通いたいとか、絶対に思えない数字である。
思うに、人が私立校に行きたい/行かせたいと思うのは、必ずしも彼らが我利我利の学歴亡者だからではない。
まさにこんな学校に行きたくない/行かせたくないから、そんなところに行って諸々の危険に遭いたくないからこそ、公立校を避けるのである。
そしてなぜ公立校がこんな状態に陥りやすいかというと、むろん「ただ同じ地域に住んでるから」というだけの理由で生徒をそこへ行かせるからである。
その中には、初めから勉強する気がない者や勉強が嫌いな者・向いてない者ももちろん大勢混ざっている。
そういう人を無理矢理(義務として)学校に通わせるのは、誰にとっても百害あって一利もない。
公立校を全廃し、全て私塾(「私学」でもいいが)に換えること――
それどころか「義務」教育自体を廃止すべきであると、私が思う大きな理由の一つである。