このほど学術誌「Proceedings of the Royal Society B」において、地球史上最大の陸上動物が新種として発表された。
その名は「パタゴティタン・マヨラム」。
何でも体長37メートル・体重69トン・大腿骨の長さ(高さ)だけでも2.4mに達する、例のティタノサウルス類に属する陸上首長竜とのこと。
生息年代は約1億年前の白亜紀中期で、それから約3,000万年後に恐竜の時代が終わることになる。
さて、巨大生物は男のロマンである。
それなのにこんなみみっちそうなことを言うのは何だが――
アルゼンチンの人にとって、つい最近まで“史上最大の恐竜”とされていた陸上首長竜が「アルゼンチノサウルス」と名付けられたのは、少々残念なことかもしれない。
「史上最大の陸上動物(恐竜)」がアルゼンチンの名を冠していれば、アルゼンチン国民は一応気分がいいだろう。
少なくとも全世界のちびっ子たち(の男の子たち)に名が売れただろう。
逆に登山用具などアウトドア用品の販売で有名な「パタゴニア」という会社にとっては、思わぬ追い風になるかもしれない。
(たとえば、パタゴティタンをイラストにしてロゴに起用するとか……
ひょっとして、今回のニュースで本当に株価が上がったんじゃないかとも思う。)
閑話休題。
それにしても「史上最大の恐竜」とは、まるで天井知らずのように際限なく更新されるものである。
スーパーサウルス、ウルトラサウルス(しかしこれは疑問視)、セイズモサウルス、ドレッドノータス、アルゼンチノサウルスときて、今度はパタゴティタン。
(もっともパタゴティタンは「アルゼンチノサウルス属の新しいグループ」に分類されたそうなので、一応アルゼンチノサウルスの名の権威は保たれたということだろうか……)
さすがにこれ以上の動物はいない、ありえない、と感じるところではあるが――
それでも一つでも新しい化石が発見されればそんな見方も一発でひっくり返るのが、古生物学の怖いところでありエキサイティングなところである。
(考古学も人類学もこれに似ている。)
どうも今までの趨勢から行くと、「パタゴティタンよりさらに上がいる、いずれその化石が見つかる」という方に賭けておいた方が無難そうだ。
そしてそれが発見される場所は、やはり南米――それもアルゼンチン・パタゴニア・ブラジルだと賭けておけば間違いないだろう。
ところで不思議と言えば不思議なのは――
なんでパタゴティタン以下「史上最大級の陸上動物」というのは、揃いも揃って「首長竜タイプ」なのだろうかという点である。
草食爬虫類といえども、たとえばウシ型(首が詰まっている)、たとえばゾウ型(首でなく鼻が長い)という進化の仕方もあったと思うのだが……
いったい「首が長い」ということには、どんな利点があったのだろうか。
「高いところの葉っぱも食えるから」というなら、どうして現代の草食動物で「首長類」はキリンしかいないのだろうか。
これについては、いずれ時間があればじっくり書いてみたいと思う。