8月2日、イギリスの科学誌『ネイチャー』に――
南米ペルーの砂漠地帯で見つかった4000万年前のクジラの化石を分析したところ、体重が最大340トンに上るかもしれない史上最重量生物だった可能性がある、との論文が発表された。
(⇒ AFP BB NEWS 2023年8月3日記事:重さ340トン、ペルーで新種クジラの化石発見 史上最重量の生物か)
そのクジラは「Perucetus colossus(ペルーの巨大クジラ)」と命名され、体重は85~340トン、平均で180トン、体長は20メートル程度とされる。
これがどれだけ重いかというと、これまで「史上最大の生物」とされてきた現生シロナガスクジラのギネス体重が190トンなので、その2倍近くも重いことになる。
しかし、シロナガスクジラの最大体長は約30メートルなのに比べ、今回のペルークジラは約20メートル。
つまり、シロナガスクジラに比べてどれだけ「デブ体型」なのかもわかる。
実際、上記引用記事に描かれたペルークジラの復元図は、本当に興味深い。
あまりにも胴体が太いのに対し、頭部はまるで(陸生時代の)祖先そのままでまるで進化していない――現生のクジラのように「頭と体が一体化している」状態では全然ない――ように思える。
またその両手はまだ「ヒレ」と化しておらず、申し訳程度の後ろ脚がまだ残っているのも面白い。
いったいこの巨体で何を食っていたのか、
こんな(相対的に)小さい頭で大量のプランクトンを食っていくわけにはいくまいに、
しかしこの巨体でどうやって獲物を捕らえていたのか――
などなど、疑問と興味が尽きないのだ。
私だけでなく誰にとっても、こんな巨体の――そして絶対に素早く泳げそうもない――生物は、明らかに生存競争に向いてないと感じられる。
しかしこんな体型と体重の生物が実際に生きていた、しかもそうなるように進化してきたというのは、それが有利だったからとしか言いようがない。
まったく、その有利さというのがどんなものだったかというのも、はなはだ疑問で興味深い。
ところでこのブログでは以前の記事で、「史上最大の動物は魚竜だろう、いつかその化石が見つかるだろう」と予想を立てている。
tairanaritoshi-2.hatenablog.com
残念ながらこの予想はまだ実現していないが、しかしまだ予想は維持していたい。
今回のペルークジラだって発見されたのは2010年、その分析結果がこの2023年に出てきたのだから、2050年に超巨大魚竜の化石が見つかったとしてもさほど驚くことではない。
そして今回のペルークジラの発見で(その復元想像図を見て)、私としてはますます超巨大魚竜が実在したことへの確信が深まった。
なにせ、こんなにもファット体型で「生存競争に向いてなさそうな」――泳ぐことすら満足にできそうもない――巨大クジラがかつて存在し、そういう方向に進化してきたのである。
しかも実際、これまでに見つかった「史上最大の魚竜」は全長25ⅿであり、今回のペルークジラの20ⅿをずっと上回る。
だとすると、「死ぬまで成長する」ともっぱらの評判である爬虫類たる魚竜なら、重量面でもペルークジラを上回る種があったと予想するのは、突飛とも言えないのではなかろうか……