7月1日夜、バングラデシュの首都ダッカの外国人に人気のレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」をイスラム過激派が襲撃。
警察が銃撃戦と突入の末13人を救出したが、20人は遺体で見つかったという。
(20人全員が外国人との情報もあれば、バングラ人・日本人・イタリア人・韓国人・インド人との情報もある。)
また、現地の英字紙デーリー・スター電子版では、救出された人質の父親の話として、犯人グループが人質に『コーラン』の一節を暗唱するよう求め、できない者は「拷問された」と伝えている。
(バングラデシュ人に対しては乱暴な振る舞いをせず、食事も出していたらしい。)
なおこの20人は突入以前に殺害されており、それには「ナイフなど鋭利なもの」が使われたようだ。
イスラム過激派の通例として、おそらく喉を切られて殺害されたのだろう。
日本人の男性5人・女性2人(いずれもJICAプロジェクトのコンサルタント)が、そういう死を迎えた。
もちろん例によって、イスラム国が犯行声明を出している。
バングラデシュには1,000人もの日本人がいるそうだが、こんなことがあっては気が気ではあるまい。
バングラデシュに社員を派遣している日本企業は、その撤退を考えざるを得ないだろう。
こんな状態で出張命令を出すだの駐在継続を決めるだの、それこそ人道に反することである。
ところで、イスラム国がネット上で発行する英字機関誌『ダービック』2015年11月18日号では――
「日本人を皆殺しにする計画」を「バングラデシュで拡大する」と書かれていた。
今回の事件は、たまたま日本人が襲撃目標店にいただけであり、特に日本人を狙ったものではないのだろう。
しかしやはり、日本人はじめ外国人(非イスラム教徒)攻撃の計画ないし公約の実行であることには間違いない。
むろんイスラム国としては、こういう事件を週1回ペースででも起こしたいところだ。
そうでなければ自らの存在を世界にアピールし、常に鮮度を保っておくことができないからである。
6月29日にはトルコの首都イスタンブールでの空港テロで42人が死亡したが、どうやらイスラム国によるテロの頻度は上がっていると見た方がいいようだ。
こういうことがあると、イスラム国はもちろんのこととしてイスラム教への風当たりが強まるのは当たり前のことである。
いや、宗教そのものが怖くてヤバくてロクでもないもの、とする日本人の共通認識をますます固めることになろう。
これまで日本人がテロの犠牲になったことは、何度かあった。
しかし複数が「ナイフで喉を切られて」殺害される事件は、初めてのことだろう。
そして前々から書こうとは思っていたのだが――
イスラム国にとって日本人とは、最優先攻撃目標であるべき存在である。
70年続いた日本の平和を破るのは、旧ソ連でも中国でも北朝鮮でも(自民党でも)なく、イスラムテロリストである――
これは、20世紀の日本では予想もつかなかったことだ。