プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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新元号は「文光」か――カンタンな漢字で「元号離れ」を防ぐ

 いよいよ、平成の次の新元号の発表も間近である。

 ここでは誰もがやりそうなこと、つまり「新元号は何になるか」を少し真面目に考えてみたい。

(もちろん、当たるわけないのは百も承知だが。)


 まず、これまた誰もがやりそうな「否定から入る」方式でやってみよう。

 新元号のNG事項は、主に次の(1)(2)である。


(1)ローマ字での頭文字が「M・T・S・H」にはなってはならない

   言うまでもなく「明治・大正・昭和・平成」の頭文字である。

   今でもいろんな書類にこのどれかをマルさせる方式はありふれているので、重複することはNGだ。

   逆に言うと、明治の前の「慶応」の「K」はさすがに構わないだろう。

   そして、これは絶対とは言わないが、「明・治・大・正・昭・和・平・成」の漢字もまた、重複使用はしないものと思われる。


(2)とにかく簡単な漢字であること

   これは、今後の年号の絶対条件だろう。

   例えば「嘉」の字は、とてもめでたい漢字であり実際の使用例も多数にのぼるが、現代人には何とも難しすぎる。

   現代の若い人の人名で人気なのに「翔」の字があるが、これもまた画数が多すぎる。

   私としては、元号の字画は多くて9画であり、2桁に到達してはならないと、新元号を考える人たちは思っていると思う。

   なぜなら画数が多くて難しい漢字にすれば、ますます世の中の「元号離れ」が進むからである。

   ただでさえ「元号を通じた年数を計算できない」弱点のある元号は、これからますます国民に「メンドクサイ、仕事と生活の邪魔」扱いされていくだろう。

tairanaritoshi-2.hatenablog.com

 

   これを防ぐには、とにかく小学生でも簡単に書ける漢字にするのが何よりの(真っ先の)命題である。

   そういえば、これは時の年号選考者たちが意識してやったのかどうかは知らないが――

   「明・治・大・正・昭・和・平・成」もまた、どれも「カンタンな漢字」に属する。

   そして「昭」の字以外は、どれも誰でも年号に使いたそうな漢字である。

  (さすがに「昭」の字って、三国志劉備諡号が「昭烈帝」だというくらいしか、普通の人には思いつかなかったと思う……)

   だったら「平成」以降の年号が全て簡単な漢字になるというのは、実は「慶応」の次の「明治」以来の伝統だとも言えるだろうか。


(3)中国古典はあまり気にしなくていい

   「平成」の出典は、『史記』五帝本紀の「内平外成(内は平かに、外も成る)」であった。(もう一つあるが)

   日本の年号はだいたい中国古典の文章から抜き取るのが慣例のようだが、

   しかしこれ、新元号は何かを考えるのにあまり重視しなくていいと思う。

   そんなの、どんな漢字の組み合わせだってどこかから抜き出してこれるからである。


(4)企業名・団体名・商店名・地名との重複を完全に避けるのは可能か?

   岐阜県関市の小字には「平成(へなり)」があった。

   そして元号に使いたい「佳字」(縁起の良い、めでたそうな字)というのは、既に多くの企業・団体・商店・地名に使われている。

   今後の年号が漢字2文字の組み合わせであることはほぼ確実だが――

   たった2文字の組み合わせでは、どうやっても何らかの重複が出ることは避けられそうもない。

   とはいえもちろんこれこそ、元号の考案・選定の最大の難関なのだろう。
 
   きっと今でも、「元号案選定事務局」(みたいなところ)の人たちは、この作業をやっているような気がする。

   案の2文字をネットに入力し、検索する――

   これは日本有数の、ほとほとウンザリする作業のような気がしないでもない。

   思えば現天皇生前退位を決めた最大の功徳は、この点にあったのかもしれない。

   とにもかくにも、重複をネット検索する日時は確保できたわけだから。

   この点だけでも、天皇生前退位は今後の日本の伝統になっていくと思われる。
   
   もし真の新元号が、完全に重複を避けることができていたら……

   それはもう、絶賛もののお手柄と言うべきだろう。


 さて、以上(1)~(4)を考えて選ぶのは――

 「文光」

 という案である。

 「文」の字は、歴代最多かと思うほど頻繁に使われてきた佳字であり、また現代日本がいかにも使いたそうな字でもある。

  そしてまた、簡単な字であることは見ればわかる。

 一方の「光」の字は、今までの使用例はあまりないが、しかし現代日本では明らかな佳字である。

 これ、みなさんの中にも、使いたい人は多いのではなかろうか。

 さて、もし新元号が「文光」になれば、その頭文字は「B」――

 「B級グルメ」を真っ先に思い出しそうになるが、明治以降初めての濁音になる。

(もしかしたら、「濁音はダメ」というルールがあるのかもしれない。今の日本ならあり得なくはない話ではある……)


 ああ、わかっている。

 昭和改元の際には「次の元号は光文」という誤報スクープがあった。

(今の出版社の「光文社」との関連は定かではない。)

 「文光」はちょうどその逆なので、いささかケチが付く感は否めない。

 また、「文光」をネットにかけてみると、やはり出版社名や書店名に重複があるのだ。

(そう、確かにそういう業界がすぐにでも付けそうな名前だ。)

 
 しかしどうせ、重複を完全に避けるのは無理な相談である。

 そしてまた、どうせ新元号になったら、その名を冠した会社名がどんどん出てくるものである。
 
 だったらもう、重複をすっかり避けるのは諦めた方がいいと思われる。


 さて、「文光」の新元号案は、当たっているかどうか……

 むろん当たるわけないとは思っているが、しかし「文」の字か「光」の字は、かなり使われる可能性が高いとは思うのである……