プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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サマータイムの経済効果は7000億円?-「経済効果」は現代のホラフキ錬金術か

 安倍首相は2020年の東京オリンピックの猛暑対策として――

 2019年と2020年限定で、サマータイム(夏期の時間を夏の時間を2時間だけ繰り上げる)を導入するか検討に入るよう指示したそうだ。

 まずいつもながら思うのは、つくづく日本人(のかなり大きな部分)は、「オリンピック」というものを一生畢生の一大事・超ビッグイベントとして捉えるのだなあ、ということである。

 たかがあんなスポーツ大会なんかに大金をかけ莫大な情熱を注ぐ様は、競技そのものよりはるかに壮観と言えるだろう。

 ハコモノつくりというのは決まって批判を浴びるものだが、なぜかオリンピックのためとあらば、デカい競技場やアリーナを作っても批判の声はほとんど報じられない。

 たった2週間のイベントを当て込んで作った巨大施設が、その後は莫大な維持費がかかってとてもペイすることなどないなんて、どんなバカにもわかりそうなものなのに……

 マスコミも何も揃いも揃って、まるで「オリンピックのための事業に反対する奴は非国民・不謹慎」と言わんばかりの姿勢である。


 しかし、それはさておいて――

 何でも第一生命経済研究所エコノミストの試算によれば、サマータイム導入の経済効果は7000億円に及ぶという。

 それどころか2005年に導入していれば1兆2094億円の経済効果があったはずらしい。

www.jiji.com

 

www.zaikei.co.jp


 この「経済効果」の試算額というもの、メディア上でしょっちゅうよく見る数字である。

阪神タイガースが優勝したときの経済効果は何百億円、とか……)


 もちろん私はエコノミストでも何でもないので、経済効果の計算などできはしない。

 しかし大昔からずっとずっと思ってきたのは、この「経済効果の額」というのは――

 現代の最大規模の錬金術であり、つまるところデタラメ・ホラフキ数値ではないのか、ということである。


 思えば我々は生まれて死ぬまで、いくつ「経済効果は○○億円」という報道を聞くかわからない。

 あなたが今まで聞いてきたそれを累計すると、たぶん数十兆円くらいは行くのではないか。

 しかしそれなら、これだけ多くの経済効果が生じているなら、日本経済はそれこそ永遠の成長を遂げているはずである。

 失われた10年も20年も、そんなものはなかったはずだ。

 だが、単純に考えて……

 サマータイムを導入したら経済効果が(名目GDPが)爆上がりするなんてこと、そんなに世の中も経済もチョロくない、のではないだろうか。

 そういえばジンバブエでもあなたの地元の地域でも、「経済効果」のあるイベントや事柄なんてしょっちゅう起こっているはずである。

(あなたの街の公民館まつりだって、経済効果の試算をすれば何百万円は弾き出せそうだ……)


 しかしそれなのに、ジンバブエはいつまで経っても経済大国になることもなく、あなたの街のシャッター通りが甦っているわけでもない。

 そしてもう一つ単純に考えるなら、経済効果が7000億円あるということは、個人個人の「何かについて」支出する合計額が7000億円増えるということである。
 
 と言うことは当然ながら、その「何か」以外の他の分野に支出するカネが少なくなる、ということに他ならない。

 つまり経済効果が7000億円あると言ったって、差し引きすればゼロとなる。

 国富への寄与はゼロということにならないか。


 もしかしたら私はトンチンカンなことを言っているのかもしれないが、しかしやっぱり、以上のことは基本的には正しいことのような気もする。

 それにつけても思うのは、エコノミストの皆さんには是非、


●エロコンテンツの局部モザイク解禁

●赤線地帯復活

憲法改正

元号廃止

マリファナ解禁


 の経済効果も試算してほしいものである。

 これらは全て、いや、この世の森羅万象ほぼことごとく、少なくとも億円単位の経済効果があると思われるのだが……