11月1日、大阪市を廃止して大阪府に「接収」、旧大阪市は4つの特別区に再編するという「大阪都構想」について、大阪市で住民投票が行われた。
結果は、都構想への反対が多数で否決。
しかし、前回5年前も反対70万5585票、賛成69万4844票という僅差であったが……
今回もまた、それと同程度のものすごい接戦であった。
テレビで開票速報を見ていた人は、「反対多数確実」のテロップが流れているのに、
「いや、下に出てくる数字は賛成の方が多いんじゃないか?」
と思わずにいられなかったはずだ。
さて、私はこの大阪都構想についてあまり関心なく過ごしてきたのだが――
そこは野次馬・見物人・素人なりに、都構想すなわち維新の会の敗因を考えてみよう。
まず何より真っ先に思うのは、大阪は「都」じゃないだろう、という単純極まる感想である。
これ、大阪市民・大阪府民の外の人は、みんな思ってたことじゃないかと思う。
いや、普通は誰でもそう思うはずである。
おそらく大阪「都」構想というネーミングで最初から最後まで押し通したのは、
大阪市民・大阪府民の反東京意識というか、自尊心をくすぐる意図があってのことだろう。
しかしこれ、やっぱりミスネーミングじゃなかったかと思うのである。
単に「大阪大再編構想」とでもしておけば、「『都』の僭称じゃないか」という至極ストレートな反応は避けられたろう。
そして次に、「二重行政の解消」というやつである。
これ、いくら無駄だとか言われても、一般市民にはそんなに響かないくらい実感のない話ではなかろうか。
たぶん「自分は、自分たちは、二重行政で損をしている。余分な金と労力を費やされている」と本当に「実感」している人というのは、ごくごく少数ではなかろうか。
少なくとも、今回投票した人の半分ちょっとを超える人たちにとっては――
よく言われる「現状維持バイアス」を乗り越えるほど、いらん負担とは感じていないということだろう。
さてしかし、今回の維新の会の敗北は、前回よりも深刻だとも言える。
なんたって吉村府知事・松井市長という、当事者たる大阪府と大阪市のトップが二人とも維新の会だというのに、それも5年もあったのに、それでもまだ勝てないのである。
それはなぜかと言えば、私はこんなことはあんまり言いたくないのだが……
この二人も、いや維新の会の誰であっても、
全て「橋下徹の子分だろ」
と思われていることが大きいと思う。
吉村府知事は、橋下徹 氏の子分である。
松井市長も、橋下徹 氏の子分である。
こう思われているのを、誰が否定できるだろう。
吉村府知事は、三度目の都構想挑戦はないと(涙ぐみながら)言った。
松井市長は、令和5年の任期満了後は政界引退すると言った。(自主的レームダック化宣言、とも言える。)
そう、もし都構想を何が何でも実現させたいのなら――
彼らは維新の会とは別の党を作り、「橋下徹の子分」イメージから脱却を図る必要があるだろう。
「都」構想ではなく、別の名称にする必要もあるだろう。
そうすれば三度目の正直で、今度こそ勝利する確率は充分に高い。