9月19日午前4時過ぎ、仙台市宮城野区の東仙台交番に21歳の男子大学生が「落とし物がある」と訪れ、隙を見て33歳の男性警察官を刺殺。
物音を聞いて戻ってきた40代巡査長が、拳銃3発を発射して大学生を射殺した。
奇しくも6月26日に富山市で起こった交番襲撃・警官殺しの犯人と同じく、彼もまた21歳である。
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「警察官が狙われる時代」は過去にもあったが、今はもう極左暴力集団ではなく、そこらの一般人が単独でやる時代である。
これは確かに、昔の警察が予想もしなかった展開かもしれない。
とはいえ私が今回初めて知って驚いたのは――
なんと全国の交番には、防犯カメラというものが設置されていないということである。
いやはや、まさかこんなことだったとは、私の他にも知らなかった人が多いのではないか。
よりにもよって防犯の拠点、軍隊で言えば小規模駐屯所であるのに、防犯カメラがないなんて――
いや、確かに今回と前回(富山市)のケースでは、防犯カメラがあったって警察官を救うことにはならなかっただろう。
管内全ての交番に防犯カメラを付けるのは、予算的に無理という言い方もあるだろう。
それにしても、全国のほとんど全ての交番に防犯カメラが付いてないって、ちょっとヒドくないだろうか。
思えば我々は日本の「KOBAN」システムについて、褒め言葉ばかり聞かされてきたものである。
それはややもすると「国民皆保険」制度と同じく「日本の誇るべき制度」として紹介され、海外でさえ導入が進んでいるとかいった、「イイ話」ばかり聞いてきたものである。
しかしながらもちろんのこと、交番(と駐在所)制度には弱点や懸念もある。
ごく少人数、いやたった一人の警察官が詰めている交番・駐在所というのは、ちょっと田舎に行けば実に見慣れた光景である。
(それより見慣れているのは、「交番・駐在所の中に誰もいない光景」かもしれないが……)
確かに私でさえ、「たった一人が相手なら、隙を見てオレでも殺せるんじゃないか。拳銃を奪えるんじゃないか」と思うものである。
通り過ぎる男子中学生や男子高校生あたりなら、なおさらそう思っているのではないか。
今回のケースでは、まだ警察官が2人いたから犯人を射殺できた。
しかしたった1人であれば、人知れず殺された上に拳銃も奪われていただろう。
そしてたった1人であれば、たとえばわずか2人の共同犯に狙われただけで一巻の終わりである。
しかもそこには防犯カメラもなければ、警察署と直結するテレビカメラもないときている。
日本の交番・駐在所というのは、こうまで脆弱なものだったのだ。
もしこれが日本でなければ、警官のストライキや勤務拒否が起こっても不思議ではないだろう。
何にせよ今回の事件で、「警官2人組」相手でも警官殺しはできることが実証された。
となればやはり、常にその場に「3人」以上いることが再犯防止の対策になるはずだ。
それがマンパワーの都合上できないのであれば、小規模な駐在所は閉鎖して中規模交番に集約するのも致し方ない。
交番制度は、確かに効果的で素晴らしいものかもしれないが――
それは欠点がないというのではなく、まして「ずっと素晴らしい」というわけでもない。
警察官の人命保護のためにも、「単独テロリスト犯」の時代に対応することを期待したい。