プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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米YouTuberローガン・ポール、自殺死体&謝罪&バカ犯罪動画で荒稼ぎ-これがホントのゲリラ・マーケティング?

 アメリカのYouTuber、ローガン・ポールという若者は、そのYouTubeチャンネルに1,500万人ものフォロワーを持つという。

 私はどんなにYouTubeの動画が面白くても、一度もそのチャンネルをフォローしたことはない。

(こういう人、けっこう多いはずである。)

 そういう人間から見れば、こんなにもチャンネル登録する人が多いのはなぜだろう、と、まずそこから疑問に思う。

(たぶん、時代に乗り切れていないのだろうが……)


 ローガン・ポールは、昨年末に日本の“あの”青木ヶ原樹海でホンモノの自殺死体をYouTubeに投稿したとして、大きな非難を浴びた。

 そして今度は、そのちょっと前に投稿した「日本をバカにする動画」が問題になっているという。

www.businessinsider.jp


 私は、この人が自殺死体を動画アップしたということを知ったとき、まず――

「アメリカ人なのにわざわざ日本へ来て、それも青木ヶ原樹海なんかへ行くというのは、もう取材旅行ではないか」と思った方である。

 さすが何千万人ものフォロワーを抱えるYouTuberともなると、遊び半分で動画投稿しているのではない。

 こんな取材旅行をしてまで、あくまで「商売として・職業として」動画を撮ってくるのだ――

 そしてさらに、ホンモノの自殺死体を見つけるなどという“幸運”にも恵まれてしまうのだ……

 と感じ入ったものだ。


 そして上記引用記事によると、自殺死体動画への謝罪動画はアッという間にYouTubeトレンドページのトップに上り、

 収入が無効化されるまでの短い時間に7000ドル~5万6000ドル稼いだはずだ、という。

 また1月7日現在、YouTubeのポールのチャンネルは停止されておらず、それどころかフォロワーはこの1週間で約580万人も増えているともいう。

 対して、彼のYouTubeチャンネルの削除を求める署名(Change.orgによる)は、1月8日現在で約37万人らしい。


 いやはや、ポールが初めからこういう流れを狙ってやったのかは知らないが……

 それにしてもYouTuber万歳である。炎上商法大成功である。ボロ儲けである。

 なんだかんだ言ってフォロワーを一気に580万人も増やせたのだから、パソコンの前のポール君、笑いが止まらないだろう。

(たぶん本当に頬が緩んでいると思う。)


 こういう商法は、評判が全てと言ってもいいようなそこらの「会社」には絶対にできないことである。

 まさにYouTuberという完全個人事業主だからこそできることである。

 きっとこれこそが、世に言う「ゲリラ・マーケティング」の完成形なのだろう。

 どんなに非難されようと、それでも(それを知ってて)新たにフォローする人が、世界中に580万人もいるのである。

 悪名は無名に勝るという格言が(特にプロレス界に)あるが、これこそがまさにそれだ。

 仮に彼が逮捕されたって、死刑になるわけないのだから釈放されればまたフォロワー数も増えるだろう。

 そうすれば彼にはますますカネが転がり込む。

 本当に、YouTuberのような純粋な個人事業主にとって、炎上商法はイイコトづくめのようではないか。


 
 さてここで思い出すのは、最近あんまりその名を聞かない“世界的ハッカー集団”アノニマスである。

 アノニマスは数年前にイスラム国に対し「宣戦布告」したのだが――

 私が次に宣戦布告してほしいのは、中国に対してである。

 なぜなら周知のとおり、中国はその国内においてネット閲覧制限をするという、アノニマスにとっては許せないはずの抑圧を続けているからである。

(もちろん他にもネット閲覧制限をしている国があれば、漏れなく宣戦布告すべきである。)
 

 しかし番外編として、こういうYouTuberに攻撃を仕掛けてみるのも名声を上げるチャンスかもしれない。

 むろんローガン・ポールのチャンネルを攻撃して閉鎖する(収入源を絶つ)ということは、YouTubeそのものに攻撃をかけるということになるのだが――

 現代の鼠小僧よろしく、「悪党と、それを庇うかのようにペナルティを科さない悪代官」を成敗する義賊という立ち位置を取れば、喝采を浴びることもあるかもしれないではないか?


 それにしてもポールのようなYouTuberを抑止できるのは、ただ電脳自警団・電脳私設軍隊みたいな存在しかなさそうだというのは、面白いと言えば面白いことである。

 アノニマスがサイバー戦を仕掛ける相手が、国家でもテロ集団でも麻薬組織でもなく、面白動画の投稿先だとしたら――

 これはなかなか、SF作家や漫画家でも思いつかないような展開である。