プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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新入若手社員ダンス動画ブーム-人は独創性がなく安易である

 私はそういう動画を全く見ないが、世間では自社の新入社員や若手社員がダンスをする動画を公開している企業がとても多いらしい。

 確かになぜか、全く見ないのに見ないなりに、そういう動画が多くあるような気がするのは不思議である(笑)

 しかし、やはりと言うべきか――

 そういう動画の氾濫への拒絶反応を示したり警鐘を鳴らたりするようなネット記事も現れるようになった。 

(⇒ FORZA STYLE 2025年10月23日記事:「踊れないので、会社辞めます」ゆとり世代だけが悪いのか?熱血企業の体質に異議あり!【専門家助言】)


 私はこれまで生きてきて、一度としてダンスをしたいと思ったことはなく、実際ダンスしたことはない。(学生時代もそうだったと思う)

 ついでに言えば、ダンスしている人を見て「いいなあ」とか「かっこいい」と思ったこともない。

 よってもちろん、もし新入社員として社命や社のプロジェクトとして同僚たちとダンスしろ、その練習をしろ、ネットで広くPRする、などと言われれば、心の中では断然拒否するに違いない。

 しかし、では本当に拒否できるかと言われれば、そこは新入社員であり若手社員であるならば、断れないことだって大いにあり得る。

 幸い私はそういう運命を辿ることはなかったが、しかし不幸にもそんなことしなけりゃならなかった人たちは、本当に気の毒である。

 そして、つくづく思うのだが――

 「自分のしてほしくないことを人にするな」「自分のしたくないことを人にさせるな」というのは、おそらくあらゆる道徳律の中で最も有名で最も共感を呼びそうなものであるのに、やっぱり実践するのはそう容易くない、ということなのだろう。

 はたして自社でこの「ダンス動画」を企画し実施させてきた人たちは、自らがそのダンス動画に出ただろうか。

 いや、自分自身がダンスしたいと思ったろうか。

 自分がダンスすることを、少しでも考えたことがあるだろうか。

 たぶん9割以上の人が、自分自身がそのダンス動画に出ることなんて考えもしなかったろう――と推測するのは間違いだろうか。

 また、何より「ガッカリさせる」のは、自社PRと言えば若手社員のダンス動画である……と、それほど多くの企業人・ビジネスパーソンが考えるという付和雷同性と独創性の欠如である。

 結局のところビジネスパーソンだなどとカッコ良く言ったって、人間のほとんどは独創性などなくブームに乗っかる程度の発想しかないのだ、と評するのは(感じるのは)言い過ぎだろうか。

 だがこれには、無理からぬ面があると私は思う。

 なんてったって今の社会、活発性・躍動感・「本人自身が楽しんでる感」の表現と言えばそれは即ダンスであって、世の中にはまさにダンスが溢れ返っているのである。

 私はこれもほぼ見ないので自信はないが、アニメ界とかだって何かと言えばダンスばかりになっているのではあるまいか(笑)

 そんな社会で生きている中で「自社PR」と言えば「ダンス」と大勢の人が短絡したからって、いったい誰が責められよう……

 と言っては、今度は弁護しすぎだろうか。

 また、これも言い過ぎになるのだろうが、現代社会は「ダンス化社会」と言える面もあると思う。

 繰り返しになるが、とにもかくにも活発性・躍動感・本人ら自身が楽しんでる感を表そうとすれば、人はすぐ――ほとんどバカの一つ覚えのごとく――「ダンス」を思いつくのである。 

 これはもう、ダンス化社会と言うよりは安易化社会と言った方がいいのかもしれない。

 もっとも上記引用記事のようなネット記事が出てき始めた以上、もう世の中の「新入若手社員ダンス動画」ブームは終わりである。

 今度はまた(安易にも?)そんなダンス動画を提案する奴は考えが浅い、ということにアッという間になるものである。

 しかし当然ながらまた、安易なるナントカブームが繰り返されることも間違いない。

 繰り返しになるが、世のたいていの人に独創性はなく、あることが流行りとなったことを知るや否や、それを「提案」するのが精一杯の人が大半だからである……

 もちろん私もあなたも、たぶんその一人に過ぎないのではあるが。