10月27日の衆議院選挙は、与党の自民党・公明党が議席の過半数を割り込む大敗に終わった。
よって野党は躍進を果たし、特に国民民主党は選挙前7議席から28議席と4倍に増え、最もこの選挙で勝利したと言える党となった。
というのも、最大野党の立憲民主党は選挙前98議席から148議席と50%増にはなったのだが……
これは多分に、「今回は自民党に入れたくない」人たちの一時的受け皿になった観があるからである。
これに比べれば国民民主党の躍進は、ずっと芯のある質の高い得票によると言えるのではなかろうか。
そもそも(失礼ながら)国民民主党のことなんて、そういう党があることすらもそんなに大勢の人が知っているとは思えないのに――
さて、その一方で、全国的な投票率は戦後3番目に低い53.85%であった。
とりわけ投票に行った人にとっては、相も変わらず嘆かわしい低投票率に感じられるだろう。
これだけ「政治」のことがニュースで採り上げられても、何でもかんでも政治のせいだと言う割には、日本の有権者のほぼ半分は選挙に行かないのだ。
しかしこの現象、世上非常によく言われる「低投票率は与党に有利、なぜなら与党は組織票があり確実に得票数を見込めるから」という言説とは、どう整合性がとれるのだろうか。
戦後3番目に低い投票率なら当然に与党が勝利、ということになるはずだが、現実はそうではなかった。
これは私の個人的な――別に調査研究したわけではない――感想だが、逆説的ながら自民党は、社会の高齢化と共に衰退していく成り行きになると思われる。
ここで言う社会の高齢化とは「高齢多死社会」のことであり、つまり今後当分の間は高齢者が大勢死んでいく社会になるということである。
これは国民的常識と言ってもおかしくはないだろうが、「自民党の支持基盤は高齢層である」と言われる。
その高齢層が、今すでに毎年大量死しつつある。
これ即ち、自民党の支持者がどんどんいなくなるということである。
むろん毎年「高齢者への仲間入り」する「新高齢者」は大勢いるわけだが――
しかし、死んでいく旧高齢者の多くが自民党支持者である(のだろう)としても、新高齢者は必ずしもそうでないのは誰にでも感得できるだろう。
そして今回の選挙結果「低投票率なのに自民大敗」というのも、「選挙に行くのが億劫な、足腰立たぬ高齢者」がかなりの人数いるせいではないかとさえ感じられる。
そしてそれ以上に、「何が何でも投票へ行って自民党に入れる」熱意ある旧高齢者がどんどん減少しているのが要因ではないかと感じられる。
この、ごく単純な人口構造の変化だけを見ても――
中長期的には、いや今後たった10年以内の単位で見ても、自民党の衰退と政権陥落はほとんど確実ではないだろうか。
もちろん江戸幕府が滅んだように、自民党幕府もナントカ党幕府もいつかは終わるのはわかりきったことであるので、こんなのは予言と言えるようなものではない。
しかしおそらく、高齢多死社会が進展するにつれ自民党が衰退し、また政権から降りる日はそんなに遠いことではないだろうという予測は、確実に当たるだろうと思うのである。