北海道は猿払村の沖、約500メートルにあるという「エサンベ鼻北小島」が消滅してしまったのではないかとの報道があったのは、昨年(2018年)10月末。
それから半年以上経った今年5月20日、ようやく海上保安庁が現地調査を始めた。
(⇒ HTB北海道テレビ放送 2019年5月20日記事:<北海道>消えた島?エサンベ鼻北小島 調査始まる)
このドローンからの映像を見る限り、エサンベ鼻北小島は消滅したか消滅寸前ということで間違いないようだ。
そして誰もが感じるように、これはもう「島」というより「岩礁」としか思えない。
1987年に海上保安庁が測量したときには「海面から1.4メートル」の高さがあったとされるが――
地元の猿払村民の話では、
●42年前には(高さ?)50cmくらいだった
●そこに島があるとはわからないので、船外機が当たったことがある
●直径で1mから1m50㎝くらい
だったとか、ますます「島」じゃなくただの「岩」だろうという思いを強くする。
ところでこの島のことが報道される際には、必ず「領海が縮小する恐れがある」との言葉が付いてくる。
ではいったいどのくらい縮小するのかとは、誰でも思いつく疑問なのだが――
しかし残念なことに、それを書いている記事は一つもない。
なんでも海上保安庁自体が、「仮定の話には答えられない」と回答しているかららしい。
だがここはやはり、いったいどのくらい縮小するのか、ぜひ計算して答えを言ってみてほしいものだ。
というかこれ、「島が消滅したと仮定して」領海縮小面積を算出・公表するのが義務ではないかと普通に思う。
そうでなければこのちっぽけな「島」の消滅がどのくらいのインパクトがあるものなのか、一般国民には全然わからないだろう。
まあ、発表したくない気持ちはわかるのである。
領海縮小面積を計算できないことはないのだろうが――
もしそれを公表したら、
「そんなに減るのか! 今まで海保は・地元自治体は何してた! 沖ノ鳥島みたいに周りをコンクリート護岸で固めれば良かったんだ!」
なんて騒ぎ立てる人が出てくるのは確実だ。
それに対するホンネの答えは「そんなことまでいちいち注意してられるかよ、しかも何千万円もかかるのに」というものだろうが、もちろんそんなこと正式に回答できない。
しかしやはり、こういう「事件」があればこそ対策に火が付く(そして予算が付く)、というのは世の常である。
エサンベ鼻北小島の一つを失った代わり、この手の「岩礁みたいなギリギリで島と呼ばれる島」の保全対策に火が付くのなら、失った領海面積を公表するのもまた良し、ではないだろうか。