今年11月初旬、大分県北部の某集落で「村八分」が発生し、それに対して大分県弁護士会が是正勧告をしたというニュースがあった。
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その続報が、次の新聞記事である。
弁護士会の勧告に対し、住民側が反発しているというのは当たり前である。
(そうじゃないなんてこと、あり得るだろうか?)
その言い分を要約すると、次のようになる。
●当該男性(元公務員・Uターン帰郷者)の自治会への参加を断ったのは事実。
最初は「住民票がなかったため」、後には「全員の賛同を得られなかったため」。
中には「この人が加入するなら自分は自治会を抜ける」と言う人もいた。
また、市報の配布と行事の連絡もやめているが、行事参加自体やゴミ捨て場の使用は拒否していない。
●当該男性は、自治会への加入を拒否されたことに絡んで自治会役員らを脅迫の疑いで刑事告訴した。
これは、地方自治法が定める加入拒否条件(「正当な理由」)に相当するはず。
●「そもそも感情の問題なのに」法律論を持ち出してくる弁護士会もおかしい。
さて、公平を期して言えば、この元公務員の当該男性というのが「メチャクチャ不愉快で嫌な奴」という可能性もある。
これは、この男性に直接接した人でないとわかりようがない。
しかし全般的な印象として、「もちろん自治会側(住民側)が悪いじゃないか」と感じる部外者がほとんどだと思われる。
特に「そもそも感情の問題なのに、法律論を出してくるのがおかしい」という“反論”には――
と嘲笑する人が多いだろう。
これが反論になるならば、イジメもパワハラも全てが「感情の問題」である。
それに法律を当てはめるのがオカシイと言うならば、何でもやりたい放題である。
しかし一方、これはこれで田舎土人の素直な(それこそ)感情の発露とも言える。
そして田舎土人のみならず、全ての人間に共通する「真理」なのだとさえ言える。
そう、個々人の感情の前には、法律なんてジャマなゴミクズ程度の価値しかないのである。
これはあらゆる分野に共通して言えることで――
例えば反日主義者も嫌韓論者も、日本が嫌いで韓国が嫌いだという感情の前には、いかなる理屈もデータも物の数ではない(もちろん反論なんて聞こうとはしない)のは、よく知られたことである。
それにしてもこの当該Uターン男性、人柄なんて全く知らないが「根性のある」人だというのだけは確かなようだ。
(しかしさすがに、「行事への参加自体は拒否していない」からと言って、本当に行事に顔を出していることはないのだろう……)
並の人間なら、もちろんさっさと転居しているところである。
そしてこういうニュースが流れるたびに、日本国民の
“こんな田舎は滅んでもいい”
“過疎化するのが当然”
“そりゃ人口なんて増えるわけないでしょ?”
という「クソ田舎死すべし」論は勢いを増していく。
もはや地方の再生は、いま生きている住民が全員死に絶えて無人化した後の“再入植”でしか、果たされることはないのかもしれない……
(そして私は、実際にこういう形で村落が復活していくのではないかと思っている。
それもまた良し、ではないだろうか……?)