11月29日、アメリカの研究者らが「ヒマラヤの雪男(イエティ)は、実はクマだった」とする研究成果を発表した。
何ということだ! この世には夢も希望もないのか!
いや、まだわからん! 熊でない本物のイエティがいるに違いない!
と泣き叫ぶ人は、よもやいないだろう。
「雪男の正体が熊である」とは、もう何十年も前から言われてきたことだ。
日本にUMA(未確認生物)ファンは数多かれど、イエティないし雪男というものは、彼らもとっくに(やはり)実在しないと見切りを付けていたのではないだろうか?
今どき「ヒマラヤの雪山に、未知の大型類人猿がいる」なんて信じている人は――
いまだに「ネッシーの正体は首長竜である」と信じている人と同じくらい稀少で、同じUMAファンにもバカにされていると思われる。
どだいこの現代に、人間ほどの大きさの未知の動物がまだ見つかってないなんてこと自体、もう望みのないことである。
もちろんそんな大きさの動物が「たった一頭や十頭」で生き続けられるわけないのだから、最低でも百頭くらいは必要なはずだ。
いくら人跡まれなヒマラヤといえども、百頭くらいいるならばとっくに一頭は捕まっているに違いない。
よって、もう陸上には(小動物は別として)、UMAファンの夢を叶えるような未知動物はいないと言っていいだろう。
ビッグバード(巨大な鳥)、
アフリカのコンガマト(翼竜)、
これらももし実在しているなら絶対に数十頭はいるはずで、従って一頭くらいは捕まっているはずである。
残された望みと言えば「深海」だが――
その95%はいまだ人類に探査されてないとか言われながら、だからといって
古代の海棲爬虫類(モササウルスみたいなもの)やシーサーペント(巨大ウミヘビ)が実在することもないだろう。
あの「ニンゲン」なんて言うまでもない。
思えば「1999年のノストラダムス」をはじめとする未知動物やオカルトものは、それなりの規模の産業として日本に確固たる地位を築いたものである。
今もまだ学研の『ムー』は健在だし、最近はネット上で『TOCANA』がそれ系統の記事を量産している。
これは何だか、プロレスの興亡と似通った印象を人に抱かせるものだ。
おそらく、というか今すでに――
未知動物やオカルトのファン層は、社会的事象についての「陰謀論」にシフトしているようである。
かつてならノストラダムスの予言詩やイエティ・ビッグフットの実在を信じていた(というか好きだった)人たちは、今は陰謀論を信じる(好んで読む)人になっているのだろう。
これから未知動物・オカルトのファン層がどこへ行くのか……
それこそノストラダムスの『諸世紀』を読めば、何とでも解読できることは請け合いである。
(あれほどどうにでも解釈できる――そして実際にどうにでも解釈されてきた――本というのも珍しい。)