プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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座間市9人殺害&遺体切断犯・白石隆浩への「ガッカリ感」

 座間市のアパートで9人を殺し、その首を切って保管していた「首吊り士」こと白石隆浩(27歳)だが――

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 その犯行動機は、主にカネらしい。「手っ取り早くカネが欲しかったから」というものらしい。

(殺害前にレイプもしていたようだが……)


 これはまた、何と平凡な動機だろうか。

 もちろん彼自身の破滅願望とか「殺しが癖になった」ということもあるのだろうが、まったくありふれた、平々凡々たる動機である。

 賭けてもいいが、メディアや「犯罪心理学者」や大勢の一般人は――

 この事件が、やむにやまれぬ性的衝動によるものだった(ら良かったのに)と思いたいはずである。

 生首にキスしてたとか、フェ×チオさせてたとか、そういう展開を“期待”してたはずである。


 やはり日本人には、欧米人の殺人鬼のような異常な生臭さを“期待”してはいけないのだろうか。

 日本人はまだまだ欧米化しきれてなく、こういう分野では淡泊なままなのだろうか。

 何だかこの「ガッカリ感」を埋めようと、世間では様々なウワサや憶測が飛び交いそうである。

 もっとグロく、闇深く脚色しそうである。

 しかし基本的にはこの男、やっぱりつまらない(「面白くない」)凡人殺人犯ではないだろうか……

東芝「サザエさん」スポンサー降板と高須クリニック院長の名乗り-落合信彦化する高須院長?

 10月31日、東芝がアニメ「サザエさん」のスポンサーを来年3月末で降板する調整に入っていることが報じられた。

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 経営危機に揺れる東芝である。

 そして「サザエさん」は一般家庭向けの番組なのだが、最近の東芝白物家電分野を売却し、今後はインフラ事業に力を入れる方針である。

 一般家庭にインフラ事業のCMを流しても仕方ないと言えば、そのとおりかもしれない。

 よってこういう「冗費」を切ることは必要なのだろうが――

 これはやはり、「東芝の凋落」をいよいよ世の中に印象づけることになるだろう。

 これでお茶の間(こういう言い方も古いが)から東芝の名は消え、一般人にはあんまり馴染みのない社名の仲間入りをすることになるだろう。

 こういうのが人材(新入社員)集めに与える影響は、たぶん我々が思うより大きいと思われる。

(しかしその影響度は、測ることができない。)


 あの往年のクイズ番組「クイズダービー」(故・大橋巨泉の司会)で、ロート製薬がどれほど知名度を上げたか――

 そしてその結果どれほど人材を惹きつけ入社させることができたのかは、「そうしなかった場合」の効果が測れない以上、ほとんど永遠の謎である。

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 また単純に、1969年(!)の放送開始から約48年にも渡って続いてきたスポンサードとCMが終わるというのは、やはり寂しいものだ。

(この降板に“便乗”して「サザエさん自体の放送打ち切りを望む声」も上がっているというが、これについては別に書くかもしれない。)

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 さてこれを受け、いち早く後継スポンサーに名乗りを上げたのが――

 近年とみに旭日昇天の勢いの、高須クリニック院長・高須克弥氏である。

 高須クリニックと言えば、最近は印象的なCMを流している。

 高須院長がヘリでドバイ上空を飛び、ドバイのお偉いさん(という設定だろう)と会議する、例のCMである。

(蛇足だが、漫画家の西原理恵子も「漫画家 西原理恵子」という文字解説付きで出演している。

 本当に、高須院長と仲良くなったおかげで一躍セレブになった女性漫画家である。)

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 私はこのCMを見たとき、アッという間に「例のCM」を思い出した。

 同じような人は、日本全国に百万人くらいはいたと思われる。

 その「例のCM」とは、あの「落合信彦アサヒスーパードライ」のCMである。

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 両者を見比べてみると、バブル絶頂期の1989年前後から30年近く隔てているにも関わらず、気味が悪いほど酷似しているのに気づくと思う。

 ともに「ヘリに乗り(降り立ち)」、「重要人物らしき人と商談」をし、世界を股にかけるスーパービジネスマンのイメージを醸し出している。

 きっと高須クリニックのCMを制作した人たちも、この類似には明らかに気づいていたのではなかろうか?

 そして今回の高須クリニックのCM、高須院長の意向(希望)が存分に働いていただろうことは、全然想像に難くない。


 はっきり言ってこれは、高須院長にとって悪い兆候である。

 落合信彦が今現在はどのような評価をされているかは別として(ネットを調べてもらうとして……)、

 自分が自分をスーパービジネスマン役や“大物”役としてCMを作り、それをテレビに流すなどというのは――

 一般的・常識的・歴史的には、栄耀栄華の絶頂から転落・没落へ至るフラグが立ったということになる。

 こういうことは、あのホリエモンこと堀江貴文氏さえもやらなかったことである。

 
 たぶん高須クリニックの重役陣にも「いやあ、こういうことはあんまりやらない方がいいんじゃないですか……」と内心思っている人はいただろうが――

 しかし院長に向かってそう言える人はいないのだろう、というのもまた、容易に想像できることだ。


 それはそれとして今回の高須クリニックのCMは――

 高須院長(と西原理恵子)が世界を飛び回るスーパービジネスマン・ビジネスセレブであること以外には、

「いったい何を訴えようとしているのかわからない」(このCMだけで高須クリニックが美容整形を営んでいるなんてことが、どこの視聴者にわかるだろうか)

 という、マーケティングの世界では最もやってはならないことの一つをやってしまっているCMである。

 これに比べれば落合信彦スーパードライCMの方が、はるかにわかりよいことは確かである。

 しかしこういう「意味不明CM」の方が、時を超えて人の記憶に残りやすいというのもまた、確かである。


 今から30年後の世の人は、今の私が「落合信彦CM」を懐かしむように、「高須院長のCM」を憶えているのかもしれない。

 ほとんど全てのCMが忘れ去られていくことを思えば、これは一種の「偉業」である。

 そこまで計算して高須院長が今回のCMを演じたのだとすれば――

 これは現代において、「昔の王様が自分の記念碑・戦勝碑を建てた」のと同じく、「記憶の記念碑を建てた」という意味に解するべきだろうか?

座間市アパート9人殺害事件-日本では珍しい欧米型連続猟奇殺人犯の出現?

 10月31日、神奈川県座間市のアパートの一室で9人もの死体(頭部)が見つかったことで、警視庁はこの部屋に住む職業不詳・白石隆浩(27歳)を逮捕した。

(9人の内訳は男1・女8、全員が30歳未満。)


 問題の一室は6畳の部屋と4畳のロフトで成っているらしいが、頭部は玄関のクーラーボックスと部屋内の箱に入れておいたらしい。

 今のところ報道されていることをまとめると、次のようだ。


白石隆浩は今年8月22日に当アパートに引っ越してきた。

●最初の殺しは8月末、それからこの2ヶ月で計9人を殺害し頭部切断。

●捜査のきっかけになった行方不明女性(23歳)は、SNSで自殺願望を書き込んでいた。

 白石はそれを釣ったと見られるが、しかし「自殺は関係ない。殺害の同意は得ていない」と自分で言っている。

●一部の女性被害者には「性的暴行を加えてから(首を絞めて)殺した」と自分で言っている。

●「目的はカネだった」と自分で言っている。


 こういう事件を聞いてすぐさま思いつくのは、欧米の連続殺人犯たちである。

 犯罪本を読んでいれば、こういう事件は欧米では「ありふれた、凡庸な」ものだと誰もが感じるだろう。

 一例だけ挙げると、イギリスの“同性愛猟奇殺人犯”デニス・ニルセン(1945年~)。

 職業安定所に勤める彼はアパートに一人暮らしし、同性を部屋に連れ込んでは次々と殺していった。

 その動機は「一人でいると寂しい。死体とならずっと一緒にいられる」というものだった(らしい)。

 そして発覚の原因は、切り刻んだ死体をトイレに流してアパートの下水管を詰まらせたことであった。

 ニルセン以外にも、もっと性的な理由で何人も何十人も殺してきた連続殺人犯(シリアルキラー)は、腐るほどゴロゴロしている。

 (中でも最狂なのはアメリカのアルバート・フィッシュ(1870~1936年)とエド・ゲイン(1906~1984年)で、ゲインなどは一人暮ら殺した人間の皮を剥いでそれを身に着けて興奮していたという。フィッシュは自分の睾丸に針を打ち込み、殺した人間の肉を食べていた。)


 その有様は(こういうことを言ってはいけないのだろうが)まるで――

「白人男性にはこういうことをする連中の割合が高い」

 と思わざるを得ないほどである。


 しかしついに日本にも、欧米型の連続猟奇(大量)殺人犯がぼつぼつ現れてきた……

 と見てよいのかは、まだわからない。

 「目的はカネ」と言っているところを見ると、性的犯罪者としてはまだまだブレがありそうである。しかし被害者の全員が30歳未満であることは、動機の性的さを暗示しもする。

 わざわざ「性的暴行を加えてから殺した」「殺害の同意は得ていない」と自分で言って“言い逃れ”しないところを見ると、偽悪的でもありそうである。

(そしてこれは、精神に問題があると見せかけて死刑を逃れようとする布石なのかもしれない。

 「目的はカネ」と言っていることは理性があると見られそうだが、しかしそういう理性と非理性を織り交ぜて「やっぱりコイツはアタマがおかしい」と思わせる戦法だ。)


 それにしても白石隆浩という男、どうやってか自宅(しかも一軒家でなくアパートの部屋)に9人もの人間を導き入れることができたのだ。

 自宅に赤の他人を入れたことがない人も多い中で、これは際だった特色だろう。

 周囲の人から「明るい」「不気味」と印象の分かれるこの男――

(とはいえ、誰だって他人から見ればこんな風に印象が分かれるものだが)

 彼の動機が「性的」なのか「カネ」なのか、はたまた純粋な「殺人願望」なのか、「日本型連続殺人犯」の症例として興味深いところである。


 ところでこういう事件がアパートで起こると、大家さん(と管理会社)は大変である。

 テレビ中継で外観はバッチリ写されているし、ウワサはもちろん広まるしで、他の入居者は離れていくだろうし……

 もうこのアパートは、取り壊すしかないのではないか。土地を再利用もできないのではないか。


 まったく賃貸経営とは、左うちわで不労所得が入ってくるとは限らないデンジャラスな側面がある。

 たぶん入居者審査で弾くことはできなかったろうし――

 たった一人の入居者に資産も人生も傾かされてしまうことは、賃貸経営の恐るべきリスクである。