プロレスリング・ソーシャリティ【社会・ニュース・歴史編】

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山口組・第2次分裂 「マフィア組織が記者会見」の怪?

 4月30日、神戸山口組(本部は兵庫県淡路市)から離脱した各組組長らが、尼崎市の直系団体事務所で会合を開いた。
 その後幹部6人が雑誌・新聞の各社1人の記者を事務所に入れ、異例の“独立決意表明”を行ったという。
(テレビ局とカメラマンは入れず、質問もなし。われらがヤクザ情報のクオリティペーパー『週刊実話』はもちろん入っていただろう。

 日本最大の暴力団(マフィア)として有名な山口組が第1次分裂をしたのは、2015年の8月。
 約1万人の構成員を持つ山口組(組長・司 忍(つかさ しのぶ))から約2,600人の神戸山口組が抜け、今回の第2次分裂では神戸山口組から新団体「任侠団体山口組」が抜けることとなった。
 感想としてまず一つ、やはり何が何でも「山口組」というネームバリューは失いたくないのだろうなというのがある。
 “われこそは真の山口組”と主張したい気持ちもあるのだろうが、この名前を失えばヤクザ業界以外(いわゆるカタギの世界)には通用しなくなるという恐れもあるのだろうか?
 次に一つ。任侠団体山口組には「組長」は置かず「代表」を置き、その代表には神戸山口組の中核組織であった“山健組”の織田絆誠(おだ よしのり)氏が就くという。
 毎日新聞の記事によると、その織田絆誠氏の名前の後にはカッコ書きで「本名・金 禎紀=よしのり」とある。
 “日本の暴力団というのは、在日韓国・朝鮮人の団体である”というのはもはや日本のカタギ界で暗黙の常識ともなっているが、それがまたも上書き立証された形である。
 
 30日の会見では織田(金)代表は出席せず、“本部長”に就任した池田幸治(兵庫県尼崎市の真鍋組組長)氏が、神戸山口組離脱の理由と旧団体への批判を行った。
 離脱の理由は「金銭の吸い上げが酷い」「神戸山口組の井上邦雄組長が、出身母体を贔屓する」「井上組長が進言・諫言を一切聞かない」というのだから、暴力団といえどもプロレス団体の分裂理由とそうは変わらないものである。
 「山口組を真っ向から否定して立ち上がったのに、神戸山口組の現実はそれ以下の悪政だった」との批判に至っては、どこかの政党や革命軍、世直し団体の内紛と全く変わらなく見える。
 というより、人間の団体なんて全てこんなものなのだろう。
 なんだか「生ある者は必ず滅びる、長く続いた団体・組織は必ず分裂する」という理(ことわり)をまざまざと見る思いである。
 
 それにしても、マフィア団体が記者を招いて意見表明・決意表明を公然と行うというのは、日本以外の国で普通のことなのだろうか。
 以前、FBI女性捜査官が大阪府警に研修に来て、「ヤクザの事務所が町中に普通に建っていることに驚いた」という記事を読んだことがある。(2007年2月1日付け・産経新聞関西版)
 
 活字メディアだけとはいえ、マフィアがメディアを呼んで自らの「正義」を決然と訴えるというのは、日本ならではの奇景ということになるのだろうか?
 ともあれ、マフィア団体が分裂を繰り返していくというのは、カタギ界にとって基本的には喜ばしいことである。
 多少の抗争があったとしても、その死者とターゲットがマフィア構成員だけであれば、むしろ大いに抗争してほしいと思っている一般人も少なくないはずだ。
(そして『週刊実話』の売り上げも伸びるだろう。)
 
 私はそんなにヤクザ界に興味があるわけではないが、しかし今後の「旧山口組三国志の展開には興味をそそられるものがある。
 ごく適当な感想に過ぎないが、もう一度か二度は分裂が起こる気もしている。
 そしていずれは日本最大最強を誇った山口組も、名前だけはいくつもの小団体が継承するが、かつての勢力は雲散霧消する日が来るのだろう。
 この世に滅びない国はなく、いつか潰れない会社も団体もないのだから……

人を殺して人生を終わらせたい人への提言-学校保護者会会長の児童殺しと「住民恐怖の暴言おじさん」

 千葉県松戸市で起こった小学生児童殺し(ベトナム人のレェ・ティ・ニャット・リン(当時9歳)さん)の犯人として、その児童の通う小学校で保護者会長を務めていた渋谷恭正(しぶや やすまさ。46歳)容疑者が逮捕されたことが、世間にショックを与えている。
 しかしこれまた毎度のことだが、1ヶ月も経たず忘れられるに違いない。
(このニュース化社会で、殺人事件1件にかかずらっているヒマはないのだ。世間一般人にもマスコミにとっても。)
 
 そしてこれはAbemaTimes4月17日記事で知ったのだが――
 京都府の落盛雄(おち もりお。64歳)なる人物が、自宅周辺で怒鳴り声を上げて住民を怯えさせているらしい。
 彼は2016年11月に逮捕されるまで104回もの110番通報を受け、京都府迷惑防止条例違反で執行猶予付き有罪判決を受けて2017年2月に釈放されるや、また暴言を繰り返す。
 その暴言は、
「思い知らせたる、アホンダラ、おのれ絶対に許さんぞ!」
「ごちゃごちゃ言わんとよ、110番する前にオレのところに来い!」
「前科1犯にまでさせやがって、その気持ちがわかるか! 思い知らせたる!」
 などである。
 動画も今は見ることができるが、まぁ何というか絵に描いたような品のないオッサンで、非常に人相が悪い。
 今度は脅迫容疑で逮捕されたが、容疑は否認しているとのこと。
 むろん住民は「また帰ってきたら……」と不安に思っている。

 さて、殺人者や異常性愛者(のうち、実践者)が何食わぬ顔して世間で暮らしていることは、みんな周知の事実である。
 ある程度の社会的地位のある者が凶悪犯罪に手を染めているのも、そんなに珍しいことではない。
 渋谷恭正は自ら望んで保護者会長に就任し、通学中の子どもの「見守り活動」も積極的に行っていたという。
 それが世間にショックを与える要因なのだが、当然ながらどこの学校のどこの保護者にも、ヘンなのや犯罪者(まがいの人間)がいるものである。
 いや渋谷の他の保護者たちは、彼が進んで保護者会長になろうとしたこと自体、疑ってかかるべきだったかもしれない。
 なんとなれば、保護者会長だのPTA会長だの、普通はなりたくないものだからだ。
 そんな役職には就きたくない、誰か他の人がやってくれ・やるべきだ――それが現代の「普通の人間の心」なのである。
 しかしやはり、それだけでこの男が幼児性愛者で、殺人までやる人間だと見抜くことはできないだろう。
 いくら学校にはロクデナシの親が多いからといって、ここまで極端な悪人は確かに極めて稀だからである。

 翻って落盛雄のような「迷惑人間」は、それこそ全国津々浦々にいると思われる。
 そういう人間のニュースを我々は間欠的に聞くのだが、それは氷山の一角で、実数ははるかに多いのだろうとは誰でも思うことである。
 この手の人間に社会は(地域社会は)どう対処したらいいのか、若干の思いつきをかつて書いたことがある。
 

 そしてもう一つ思いつくのは――
 「人を殺して人生を終わらせたい」とか「最後にメチャクチャしたい」と思っている人は、まさにこういう迷惑人間をターゲットにすべきではないか、ということである。
 最近で言えば射場健太(いば けんた。32歳)なる男が、ナイフと竹刀を持って保育園に乱入する事件があった。

 射場健太はまさに、この手の迷惑人間を襲撃すべきではないだろうか。
 それは保育園児を襲って殺すより、はるかに生産的なことであるはずだ。
(それどころか、明らかに感謝と賞賛を受けるだろう。当の迷惑人間の近しい親族からさえも。

 もちろんそれには手間がかかる。まずターゲットの住所を知らねばならないが、職もなく他にやることもないのであれば、時間をかければできることだろう。
(なんたって、相手は「名物男」なのである。)
 そして犯行後に動機を明かす――
「報道を見て、付近住民の皆さんの恐怖を見かねてやりました。僕は死んでもいいと思っているので、悔いはありません」と言うのである。
(昔のように『斬奸趣意書』を懐に忍ばせておくのは、少しやり過ぎとみられるかもしれない。)

 これはひょっとすると、一躍ヒーローになるチャンスである。
 付近住民やそれ以外の人たちから、減刑嘆願書の署名が多数集まるのも夢ではない。
 そしてこのニュースが広まれば、全国の迷惑人間は恐れをなして乱行を控える、というのも夢物語ではないだろう。
 それは新たなる抑止力の誕生であり、その余慶は測りがたいほど巨大ではないか?

 やれ自暴自棄になったからって保育園や小学校を襲うのは――
 そういう事件がありふれたことになってしまったこの時代、「凡百のカス」のやることである。
 日々のニュースに耳を澄ませ、どれかの迷惑人間をターゲットに決める。
 そんなことをしていれば、生活に張り合いと目標ができるかもしれない。
 そして事を成し遂げた暁には、時代の求めるニューヒーロー誕生ということになるかもしれない。
 別にそういうことを扇動しようというのではないが――
 しかし今に至るまでなぜ誰もそんなことをしないのか、あるいはしようとも思わないのか……
 あなたもいささか不思議に思うとともに、そんなことがあったらいいなと期待もするのではないだろうか? 

 

アメリカのシリア攻撃と「ロシア・プーチンへの過大評価」

 4月6日(日本時間では4月7日)、アメリカは地中海の艦船から巡航ミサイル59発を発射し、シリアの軍事施設を攻撃した。

 シリアのアサド政権が、同国北西部での反政府勢力への攻撃に化学兵器を使用したことへの報復だとされる。

 これにより、アサド政権を支持してきたロシアとの関係悪化は避けられなくなったとも報道されている。

 さてロシアと言えば、昨年のアメリカ大統領選挙において、サイバー攻撃による選挙干渉を行なったと言われている。

 しかもそれは何と、トランプを大統領にしようとの意図からだという。


 これは常々感じていることなのだが、どうも日本人はロシアという国――そしてそのトップであるプーチン大統領という人物を、相当過大評価しているのではないかと思う。

 ロシアについてはしばしば「おそロシア」などと言われるものの、中国・韓国・北朝鮮への態度とは違い、そこに「嫌いだ」とか「劣ってる」という感情は非常に希薄なようである。 

 またプーチン大統領と言えば「怜悧で恐ろしい男」というイメージであり、これもまた北朝鮮のトップ金正恩キム・ジョンウン)への態度とははっきり異なる。

 多分日本のネットユーザーに「世界主要国のトップで最も頭が切れて恐ろしいのは?」というアンケートを採れば、ダントツでプーチンが一位だろう。

 だが果たしてプーチン大統領とは、そんなにもずば抜けて頭のいい男なのか?

 
 ロシアがトランプを大統領にしようとした意図は、もちろん私などにわかるわけがない。(もし選挙干渉の話が本当だとしたら、の話である。)

 しかしヒラリー・クリントンドナルド・トランプのどちらが御しにくいかと言えば、それはもちろんトランプの方ではないだろうか?

 トランプは「自分はロシアのプーチン大統領を尊敬している」と言ったらしいが、そりゃ「軽蔑している」なんて言うわけがない。

 自分のファンがアメリカ大統領になればそりゃ都合がいいに決まっているが、トランプが個人としてプーチンのことを好きだとしても、アメリカ大統領としては必ずしもそういう行動を取るわけにいかないというのも、わかりきったことである。

 そしてもちろん、「可愛さ余って憎さ百倍」という現象が多くの人間に生じ得ることも、簡単に予測できるものだ。

 もしプーチンが本当にトランプにアメリカ大統領になってほしいと考えていたのだとしたら、今回のシリア攻撃は何なのだろう。

 それは非常にトンチンカンなことをしていた、ということにならないか?

 なおロシアは、トランプの弱みを握っているからこそトランプの大統領就任を望んだ、という説もある。

(かつてトランプがロシアを訪問した際に売春婦と寝た、などという弱みである。)

 しかし、そんな話が広く語られているのであれば、これからトランプにどんなスキャンダルが起こっても「それはロシアの陰謀だ」と言い抜けられる道を作ることになる。

 またロシアがいよいよトランプの醜聞を暴露したとなれば、それは結局「ロシア=恐喝者」のイメージを世界中の人に植え付けることにもなろう。

 そして根本的なことなのだが――

 ロシアがアサド政権のような政権(もちろん北朝鮮と同様、世襲独裁政権)を支持せざるを得ない立場にある、ということ自体、その外交戦略(少なくとも中東戦略)がそんなにうまくは行ってない証拠のように見えてしまうのだ。

 プーチンが頭がいい、というのは事実だろう。

 政治家に必要とされる冷酷さを持ち合わせているのも事実だろう。

 しかし彼の出身であるKGBソ連秘密警察)だが――

 我々はアメリカのCIAやFBIが欠陥だらけで無能でさえあるという話をよく聞かされるが、それが本当ならKGBについてもそれがまた真であった、と考えるのが普通ではないか?

 何かこう我々は、ロシアの情報機関やプーチン大統領というものについて、非常に大きな買いかぶりや神秘性付与を行なっているように思えてならない。

 今回のトランプのシリア攻撃までも「プーチンの読みのうち・掌の上」と解するのは、ほとんど贔屓の引き倒しではないかと思うのだが、どんなものだろう?